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  1. 山梨県議会 2022-12-01
    令和4年12月定例会(第3号) 本文


    取得元: 山梨県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-11
    トップページ 検索結果一覧 使い方の説明 (新しいタブが開きます) 令和4年12月定例会(第3号) 本文 2022-12-07 文書 前へ 次へ 発言 前へ 次へ ヒット発言 前へ 次へ 文字サイズ 大きく 標準 小さく ツール 印刷用ページ窓表示 ダウンロード 表ズレ修正 表示形式切り替え 単文表示 選択表示 全文表示 発言者一覧に移動 全 43 発言 / ヒット 0 発言 表示発言切り替え すべての発言 ヒット発言 選択表示 すべて選択 すべて解除 1 ◯議長久保田松幸君) 2 ◯杉原清仁君 3 ◯議長久保田松幸君) 4 ◯知事長崎幸太郎君) 5 ◯議長久保田松幸君) 6 ◯福祉保健部長成島春仁君) 7 ◯議長久保田松幸君) 8 ◯農政部長大久保雅直君) 9 ◯議長久保田松幸君) 10 ◯県土整備部長飯野照久君) 11 ◯議長久保田松幸君) 12 ◯警察本部長伊藤隆行君) 13 ◯議長久保田松幸君) 14 ◯杉原清仁君 15 ◯議長久保田松幸君) 16 ◯議長久保田松幸君) 17 ◯早川 浩君 18 ◯議長久保田松幸君) 19 ◯知事長崎幸太郎君) 20 ◯議長久保田松幸君) 21 ◯福祉保健部長成島春仁君) 22 ◯議長久保田松幸君) 23 ◯子育て支援局長小田切三男君) 24 ◯議長久保田松幸君) 25 ◯観光文化部長赤岡重人君) 26 ◯議長久保田松幸君) 27 ◯農政部長大久保雅直君) 28 ◯議長久保田松幸君) 29 ◯議長久保田松幸君) 30 ◯河西敏郎君 31 ◯議長久保田松幸君) 32 ◯知事長崎幸太郎君) 33 ◯議長久保田松幸君) 34 ◯県民生活部長(小林 厚君) 35 ◯議長久保田松幸君) 36 ◯男女共同参画共生社会推進統括官染谷光一君) 37 ◯議長久保田松幸君) 38 ◯子育て支援局長小田切三男君) 39 ◯議長久保田松幸君) 40 ◯教育長手島俊樹君) 41 ◯議長久保田松幸君) 42 ◯警察本部長伊藤隆行君) 43 ◯議長久保田松幸君) ↑ リストの先頭へ ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 ◯議長久保田松幸君)これより本日の会議を開きます。  この際申し上げます。  副知事、渡邊和彦君は、公務のため本日の会議を欠席する旨の申出がありました。御了承願います。  直ちに日程に入ります。  日程第一、知事提出議案第百八十八号議案ないし第二百三十一号議案及び承第五号議案を一括して議題といたします。  これより、上程議案に対する質疑とあわせ、日程第二の県政一般についての代表質問を行います。  この際申し上げます。  今定例会においては、本会議への出席に当たって、原則としてマスクを着用することとしておりますが、質問・答弁で登壇する際や飛沫感染防止対策を行っている場所での発言は非着用も可としておりますので、御了承願います。  発言の通告により、杉原清仁君に四十分の発言を許します。杉原清仁君。       (杉原清仁君登壇)(拍手) 2 ◯杉原清仁君 自由民主党新緑の会の杉原清仁です。私は、会派を代表して、今定例県議会に提出されました案件並びに県政一般について質問いたします。  私にとって初めての代表質問であり、このような機会を与えてくださいました会派の代表及び同僚議員に改めてお礼申し上げます。  まず、感染拡大第八波のさなかにあって、患者の治療や看護に当たってこられた医療従事者の皆様を初め、日々感染防止に留意しながら、福祉・教育、その他さまざまな事業活動を継続し、県民生活を支えていただいている全ての皆様に衷心より感謝を申し上げます。  コロナ発生当初、よもやコロナ禍がここまで長引き、波の襲来が八度にまで及ぶと考えていた方は少なかったのではないかと推察いたします。  その一方、長崎知事は「コロナウイルスが一朝一夕に消え去ることなど望むべくもない」と喝破され、感染症に対して強靱な社会づくりという抜本対策こそが必要との信念のもと、医療提供体制の拡充やグリーン・ゾーン認証制度の導入などに取り組んでこられました。  その結果、ここ山梨県では、感染の拡大と収束の繰り返しに翻弄されず、生活や経済が過度に制約を受けることなく、日常に近い形で回り続け、仮に感染した場合にも必要な医療を受けられるという安心感が醸成されてまいりました。  これは、知事の最も大きな功績の一つとして賛辞を惜しむものではありません。しかし、ゼロからのコロナ対策の構築と同時に、驚嘆すべき成果を数々上げてこられた知事の手腕を思うと、もしコロナ発生がなかったならば、今ごろ山梨県はどれほど高く、遠くまで跳躍できていただろうとの未練の思いも残ります。  次の四年、コロナへの強靱化を遂げた社会において、長崎知事が守りのコロナ対策のくびきから解放され、あすの山梨の構築に向けた攻めの施策に集中された先の山梨の飛躍の姿を見てみたい。  そこでは、私たち県議会も傍観者となることなく、前進のエンジンたる当事者として参画しなければなりません。  私の任期も、残すところ四カ月余りとなりました。任期の最後の一分一秒まで議員としての職務に全力を尽くすことはもとより、我が新緑の会の仲間とともに、真の県民派であろうとする長崎知事の豊かさ共創の旗印のもとに結集し、県民全体の利益の最大化を目指して、知事とともに全力を傾注していくことをお誓い申し上げ、以下、質問に入ります。
     初めに、犯罪被害者等支援条例の制定について伺います。  この条例は、昨年の十一月議会において、我が会派の臼井友基議員が、犯罪被害者等支援に特化した条例の制定を提案したことに端を発し、長崎知事の御英断のもと、極めて迅速に検討が進められたものであります。  今議会に成案が提出されましたことは大変感慨深く、臼井議員初め会派の諸氏とともに感謝を申し上げます。  先日、民間支援団体である被害者支援センターやまなしが、犯罪被害者支援講座を開催したとの記事を目にしました。  その中で、被害者は事件に対しコントロールできないほどの恐怖や怒りの感情を抱き、体に負った傷跡を見るたびに事件や事故を思い出し苦しむなどの心理的・精神的な問題に直面することが指摘されていました。  このほか、事件に遭遇したことで生活上の困難に直面したり、刑事手続や裁判などで辛い体験をしたりする、といった問題も上げられていました。  この報道に触れ、私は、さまざまな問題を抱える被害者が、自分一人で被害から立ち直ることは極めて困難であり、社会全体で支えることが不可欠との思いを改めて強く抱きました。  被害者を困窮の中に取り残さないため、今議会に提案された条例が重要な鍵を握ることになります。  条例案は、支援体制や支援計画、基本的施策に関する規定を備えていると承知しておりますが、先行する他県の条例に比べ、その特徴はどのようなところにあるのか、まず伺います。  条例というものは、つくって終わりであってはならず、次の段階として、条例に掲げる理念を広く県民に知ってもらうとともに、その理念の実現に向けた実効性ある取り組みを具体的に定めることが重要と考えます。  そのためには、住民に最も身近な存在である市町村の理解と協力も得ながら、着実に推進していくことが欠かせません。  そこで、条例の実効性を高めるため、どのように取り組みを進めていくのか、あわせて県の御所見を伺います。  次に、循環器病対策について伺います。  循環器病は、心筋梗塞や不整脈などの心疾患と、脳梗塞や脳出血などの脳血管疾患に分けられます。  心疾患は本県の死亡原因では、がんに次ぐ第二位、脳血管疾患は第四位となっております。  循環器病は、急激に発症した場合、数分から数時間の単位で生命に関わる重大な事態に陥ることが多いのが特徴です。  一方で、発症時に早急かつ適切に治療を行うことで、後遺症による障害を大きく減らすことが可能であり、予後の生活に大きな影響を与える発症時の対応は非常に重要であります。  我が会派では、過日、循環器病の一つである心臓弁膜症を持つ人たちが主体となって運営する心臓弁膜症ネットワークの方々と意見交換をいたしました。  心臓弁膜症は特有な症状がなく、息切れや胸の痛みなど加齢に伴う変化とよく似ているため、症状に気づかず放置してしまうと心不全につながり、最悪の場合は死に至る、恐るべき病であると改めて認識したところであります。  しかしながら、心臓弁膜症は、医師による聴診で発見することができるとともに、治療法も確立していることから、適切に対処することにより、患者のQOLを守ることが可能となります。  したがって、症状が進行する前に、早期の診断と治療をすることが極めて重要であります。  県では、本年一月に新たに循環器病対策推進計画を策定し、発症時の緊急受診の必要性に関する啓発や救急隊の知識及び技術の向上、医療機関との連携などを重点取組項目に位置づけていることは承知しております。  私は、早期発見や発症時に適切に対応するためにも、まずは多くの県民が心臓弁膜症を初めとする循環器病の正しい知識を得ていくことが肝要と考えます。  そこで、県では循環器病対策について、どのような取り組みを行っているのか伺います。  次に、持続可能な救急医療体制の整備について伺います。  救急医療体制の確保は、県民の命を守る大変重要な施策であります。  しかしながら、医師の地域偏在や高齢化、新型コロナウイルス感染症のまん延など、救急医療の現場を取り巻く環境は大変厳しいものになっています。  さらには、医師の働き方改革に基づく勤務医の時間外労働の上限規制が、令和六年度から開始されます。  時間外労働については、上限規制に加え、年間九百六十時間を超える医師に対しては、連続勤務時間の制限や、終業から次の始業までの休息時間を確保する勤務間インターバルの設定などが義務づけられることになっています。  これに加え、夜間・休日の勤務を労働時間に算入しない宿日直について、国で許可基準を厳格に適用した場合、認められないケースがあり、医療現場の実態を反映していないのではないかとの声があります。  その結果、救急医療を担う医療機関によっては、通常の医療を確保するため、救急医療については、やむなく縮小・撤退するという判断をするのではないかと大いに危惧するところであります。  このような状況を踏まえ、私は本年二月議会において、救急医療に対する現状の課題や今後の検討方針について質問いたしました。  これに対し知事からは、県で実施した実態調査の結果、笛吹市などでは救急車で運ばれる患者が他の医療圏へ搬送される割合が高いことや、勤務医の過重な時間外労働、在宅当番医制の維持などの課題が判明し、今後、関係者と協議していくとの方向性を御答弁いただきました。  ぜひとも知事のリーダーシップを大いに発揮され、課題の解決に向けて着実に体制整備を進めていただきたいと願っております。  そこで、持続可能な救急医療体制の整備について、これまでの検討状況とあわせ、今後どのように取り組まれるのか御所見を伺います。  次に、成年後見制度の担い手の育成等について伺います。  成年後見制度は、認知症や知的障害、精神障害など、財産管理や契約手続などを一人で決めることに不安や心配のある方に対し、家庭裁判所に選任された後見人等が法的に保護し、支援する制度です。  認知症などの方が高額商品の購入をめぐるトラブルに巻き込まれるケースも多くなっていますが、成年後見制度の利用により、こうしたトラブルも減らしていけるのではないかと考えます。  先日、私の地元笛吹市において、著名な弁護士などを講師に迎えて成年後見制度市民公開講座が開催されたことを契機に、私もこの制度の重要性を改めて認識いたしました。  また、家族や弁護士等による後見人に加え、一定の必要な知識を得た市民から選任される市民後見人の存在も、あわせて重要であります。  地域の実情に明るく、身近な存在としてきめ細かな支援が期待できる市民後見人の活用は、制度の利用促進にもつながるのではないかと思います。  認知症や知的障害、精神障害などの方が、誰一人取り残されることなく、必要な支援を受けられるよう、成年後見制度を社会インフラとして機能させることが重要であり、まずは、制度について広く周知を図っていくことが大切であると考えます。  また、現在、成年後見制度の利用者は全国で二十三万四千人おりますが、認知症の方は、令和七年には六百七十五万人を超えるとの推計があり、本県でも増加傾向にあることから、成年後見の担い手をふやしていく必要があります。  そこで、成年後見制度の周知や担い手の育成等に向けて、どのように取り組んでいるのか伺います。  次に、貧困の連鎖を断つ子どもの教育支援について伺います。  子供の貧困に関する問題は、その子が親になったとき、さらに、その子供に連鎖しやすいという点にあります。虐待や経済的理由など、家庭に困難を抱える子供たちは、学習に意欲が持てず、遅れが出るケースが多く見られ、勉強の遅れから自分に自信が持てなくなり、進学を諦めてしまう悪循環に陥ることも多いとの指摘もあります。  学校生活は、勉強や部活動などに取り組み、仲間と体験を分かち合い、教師や友人との出会いや語らいを通して、自分はどうあるべきなのか、どう生きるべきなのかについて考えを深める貴重な機会となるものです。  時には理想と現実とのギャップの大きさに悩み、挫折感を抱いたりすることもあるでしょう。しかし、こうした葛藤も含めて、人生の基本的な姿勢を確立していくために極めて重要な時期であります。  生活に困窮する世帯においては、まずは衣料や食料、居住場所の確保など、生活上の必要を満たすことが優先されることは当然であろうかと思います。  しかし、それゆえに子供の成長機会や将来への希望が後回しとなることは、本来あってはならないことであります。  子供たちの将来の幸せへの道は、必ずしも進学が全てではありません。しかし、さまざまな可能性を開くためにも、困窮家庭の子供たちへの教育の充実は必要不可欠と考えます。  県が策定した子どもの貧困対策推進計画では、全ての子供たちが漏れなく必要な支援を受けられるように、学校を基盤、窓口にして、総合的に対策を推進するとともに、教育の機会均等を保障するため、教育費負担の軽減を図ることとしています。  子供が、みずからの置かれている状況を打破し、将来への希望を失わずに夢を掲げて歩み続けるため、十分な教育を受けられるよう環境を整えること。これは、我々大人の責務でもあります。  子供の困窮を見逃さず、誰一人取り残さず、その子の可能性を開花させ、その子が望む未来へと実を結ぶようにしていきたい。それこそが、貧困の連鎖から子供たちを解き放つ道であると思います。  そのためには、学校での取り組みはもちろん、学校以外での教育支援にもあわせて取り組む必要があると考えますが、県の御所見を伺います。  次に、本格的な観光再開を迎えた観光振興策について伺います。  この秋の観光シーズンには本県にも多くの観光客が訪れ、旅館・ホテルや土産物屋など観光事業に携わる方々からは、「ようやく希望が持てるようになってきた」と安堵の声を聞くようになりました。  私の地元である石和温泉郷においても、全国旅行支援開始にあわせて、川中島合戦やワインの新酒祭りなど、さまざまなイベントを実施して旅行需要の取り込みに努めており、週末のみならず平日にも大勢の観光客が行き交う様子が見られ、コロナ禍前のにぎわいをほうふつとさせています。  今は、確かな回復基調にある観光ではありますが、振り返れば、本県ではグリーン・ゾーン構想のもと、ある程度感染が拡大する状況にあっても経済を回し続けられる社会への強靱化を全国に先駆けて実践し、安全・安心が最優先されるコロナ禍の観光のあるべき姿を示しました。  さらに、薄利多売型の観光からの脱却を目指し、既存の観光資源の磨き上げはもとより、歴史文化やスポーツ、アウトドアなど、これまで観光活用が乏しかった分野と観光の連携を図るなど、観光の高付加価値化に向けたかじ取りにも注力してこられました。  例えば、私の身近なところでは、笛吹市観光物産連盟が主催する、普段はお座敷など限られた場所でしか演じられていない石和温泉芸妓の舞踊を寺で鑑賞するイベントを県が支援するなど、新しい試みにも取り組まれています。  このようにコロナ禍にあっても、果敢に取り組まれてきた本県の観光振興策を評価するものでありますが、コロナ禍を経て、人々の興味や関心は多様化し変化しております。  観光ニーズもまたしかりです。これからの観光は、こうした観光ニーズの多様化や変化に柔軟かつ適確に対応していくことが重要であると考えております。  そこで、県では、本格的な観光再開を迎え、観光振興にどのように取り組んで行くのか御所見を伺います。  次に、デジタル技術を活用した文化資源の魅力向上について伺います。  本年十月、我が会派では、県外視察の一環として文化資源を活用した観光振興をテーマに、佐賀県の肥前名護屋城跡、県立名護屋城博物館を訪れ、城跡の観光活用や展示のありようを調査してまいりました。  豊臣秀吉の朝鮮出兵に際して、兵たん拠点として築かれ、大坂城に次ぐ規模を誇った肥前名護屋城は、江戸時代の初期に破却され、幻の名城と言われておりますが、現在は国の特別史跡に指定され、多くの県民や観光客に親しまれています。  この視察において、私が感銘を覚えたのは、幻の名城を想起させる石垣や雄大な景色もさることながら、ARやVRといったデジタル技術を活用した新たな文化資源の展示方法が駆使されていたことであります。  このバーチャル名護屋城は、さまざまな調査によって明らかになった建物の遺構や出土した遺物から、史実に基づき、その姿形を仮想現実の世界で復元したものであります。  スマートフォンやタブレットを用い、史跡の中に再現された往事の荘厳なたたずまいは多くの観覧者を魅了していました。また、史跡内の回遊だけでは得られない細やかな情報を来訪者に語りかけ、楽しく学ばせるなど、これまでにない体験を提供してくれました。  博物館の担当者からも、「デジタル技術を活用した文化資源の観覧方法は、利用者から高い評価を得ている」「コロナ禍にあっても、観光客や利用者の数は高いレベルで推移している」との説明がありました。  こうした現実世界と仮想世界を融合するデジタル技術は、今やゲームの世界だけでなく、ミーティングを初め、キャンパスやオフィス空間でも活用されております。名護屋城の例からも文化資源に広く活用することが可能であると思います。  県では先月、県立美術館におけるメタバースの実験的な取り組みをスタートさせたと承知しておりますが、デジタル技術を用いた観覧・体験は、名護屋城のように文化資源に新たな価値を付加し魅力を向上させ、多くの方々を本県にいざなうことにつながるものと考えます。  そこで、県では、デジタル技術を活用した文化資源の魅力向上に向け、どのように取り組んでいくのか伺います。  次に、信玄公祭りの新たな展開について伺います。  十月二十八日から三十日の三日間、さわやかな秋晴れの中、第四十九回の信玄公祭りが三年半ぶりに盛大に開催され、祭りの目玉である甲州軍団出陣では、久しぶりに信玄公が率いた武者行列の観客から多くの歓声が上がるなど、大いに盛り上がりました。  観客動員数も三日間で十七万八千人と過去最高を記録したことは大変喜ばしく、ウイズコロナに適用して日常と経済を取り戻した証しとして、長く記憶されるべき節目の年になると感じたところであります。  また、初めての秋開催にちなんでハロウィンの仮装パレードも実施され、参加者や沿道の観客とともに祝う信玄公祭りの新しい形を示すことができたと感じております。  さて、我が会派では県外調査で佐賀県唐津市を訪問し、唐津神社の秋の例大祭として行われている「唐津くんち」の進行に取り組む関係者の方々からお話を伺う機会を得ました。特に興味深かったのは「唐津くんち」で曳山として練り歩く武田信玄之兜を信玄公祭りに参加させたいとの強い希望があったことです。  この曳山は百五十八年前に制作され、現在に至るまで大事に引き継がれてきたものであり、地元の方々の信玄公に対する愛着には並々ならぬものがあると感じました。  戦国最強を誇った甲斐武田氏という地域資源には、山梨だけにとどまらない全国的な価値があると改めて認識したところであります。  今後、さらなる信玄公祭りの魅力度向上を図る上でも、「唐津くんち」など全国の信玄公にちなんだ祭りと連携するなどして付加価値を高め、さらにグレードアップを図っていくことが必要と考えております。  そこで、信玄公祭りの新たな展開について県の御所見を伺います。  次に、果樹農業の経営リスクから農業者を守る取り組みについて伺います。  本県の令和三年農業生産額は二十七年ぶりに一千百億円を超え、中でも果実の生産額は六百八十億円と過去最高を記録しました。  また、令和三年の果実の輸出額も十七億五千六百万円と過去最高となるなど、果樹農業は着実に成長していると評価しております。しかし、全国的には異常気象による大雨や降ひょうなどによる農作物被害が多発しており、今後も自然災害による被害がいつ発生してもおかしくない状況にあると考えます。  本県においても、過去に大雪や台風に伴う強風により、ブドウ棚や農業用ハウスに大きな被害を受けたことは記憶に新しいのではないでしょうか。また、近年では、令和元年に桃せん孔細菌病が多発し大きな被害をもたらしました。  防除経費に対する県・市町村の支援やJAの指導、桃農家の農薬散布など、県を挙げての取り組みにより、本年五月にようやく終息しましたが、一時は産地の存続が危ぶまれる状況でした。  また、本年は桃やブドウなど果実の盗難が多発し、私の地元笛吹市でも収穫前の桃が一度に五千個も盗まれるという過去に例を見ない被害が発生しました。さらにブドウの木や棚が切断されるといった悪質な犯罪による被害もありました。  農業者は、自然災害だけでなく、このような人為的な被害により、農業経営や生活に深刻な影響が出ることに不安を抱いております。加えて、農業経営は市場価格の下落、農業者のけがや病気により農作業ができなくなるといったリスクもはらんでおります。  今後も、果樹王国山梨を維持するためには、農業者の経営を安定化し、自然災害や病害虫の発生、盗難、市場価格の変動などさまざまなリスクに備えることが重要と考えます。現在、農業経営の安定化を図るセーフティーネットとして収入保険がありますが、これは農産物の販売収入の減少を補填するものであると承知しております。  この保険は自然災害だけでなく、盗難などの人為的被害や病気、けがなど幅広いリスクに対応できるものであり、県としても農業者の加入をさらに促進していく必要があると考えます。  そこで、県では、果樹農業の経営リスクから農業者を守る取り組みについて、今後どのように進めていくのか御所見を伺います。  次に、米国産桃の輸入解禁への対応について伺います。  昨年八月、米国産スモモが突然輸入解禁されたことに続き、本年二月には米国から桃の輸入解禁要請があり、現在米国と日本政府との間で協議が行われていると承知しております。  私の地元である笛吹市は、日本一の桃産地であり、桃を主力とした果樹経営が多く、生産者を初めJAの関係者は不安と危機感を持ってこの協議の推移を見守っております。  こうした中、本年五月、笛吹市長を初め笛吹市議会議員並びに地元選出の県議会議員が県庁に赴き、知事に米国産桃の輸入解禁に関わる要請を行いました。  具体的には、米国産桃の産地の状況などについて現地実態調査を行い速やかに産地へ情報提供すること、優良品種への改植など産地強化のための予算を拡充することを、国に対して働きかけてもらえるよう要請したところです。  これに対して知事から、スモモの輸入解禁時のような混乱が再度起こらないよう早期に対応することが重要であり、国に対して強く要請していくとの心強い御発言をいただきました。また、県では、国任せにせず、みずから現地調査を行うこととし、三回目の現地調査を実施した後に、その結果を産地へ情報提供していただけると承知しております。  産地では、桃の輸入に対する不安が大きい中で、県からの情報提供を待つとともに、これからの支援策に大きな期待を寄せております。生産者が将来の展望を描けるよう、今後できるだけ速やかに調査・分析結果を踏まえた対応方針や国・県の支援策など、産地や農家に丁寧に説明していただきたいと考えます。
     また、米国など外国産果実の輸入を踏まえ、世界に誇る高品質な県産果実をこれまで以上に海外へ輸出できるよう販路を拡大していくことも必要であると考えます。そこで、米国産桃の輸入解禁に向け、県では、どのように対応していくのか御所見を伺います。  次に、笛吹市内の道路整備について伺います。  世界農業遺産に認定されている峡東三市は、果樹栽培が盛んな地域であり、石和温泉郷やワイナリー、観光農園など多くの観光資源を有しています。昨年八月、中部横断自動車道山梨─静岡間が全線開通し、東海や中京方面からのアクセスも向上したことから、新たな物流・人流の誘導により、農業や観光など、この地域の産業のさらなる飛躍に期待が寄せられています。  また、県が整備する新山梨環状道路東部区間の一部区間が先月十九日に開通しました。また、この延伸区間となる笛吹川右岸の石和町東油川までの間は、橋や盛土工事が盛んに行われており、早期の完成が待ち望まれているところであります。  このように、笛吹川右岸エリアにおいては、新山梨環状道路や国道百四十号など骨格となる道路が着実に整備され、交通の利便性や安全性の向上が図られております。  一方、笛吹川の左岸エリアにおいては、中央自動車道沿線に三つの工業団地や大手スーパーの配送センターなどが立地しておりますが、今後は笛吹八代スマートインターチェンジの有効活用により物流面での優位性を生かすことで、企業立地のニーズがさらに高まるものと期待されます。  しかしながら、笛吹市の新たな玄関口となるスマートインターチェンジへのアクセスは十分とは言い難く、特に国道二十号をつなぐ県道藤垈石和線は、幅員が狭く、大型車同士のすれ違いが困難であり、歩道の未整備箇所もあるため安全で円滑な通行が確保されているとは言えません。  また、スマートインターチェンジから南側の区間では、多くの車両が中央道の側道を利用するなど幹線道路として十分に機能していない状況です。こうした中、笛吹川両岸を結ぶ砂原橋は、笛吹市による整備が進み、年度内には本格的な開通が予定されており、スマートインターチェンジと新山梨環状道路をつなぐ新たなルートが整備されることになります。  笛吹川左岸エリアが今後さらに発展するためにも、国道二十号から笛吹八代スマートインターチェンジや完成間近な新山梨環状道路東部区間の(仮称)東油川インターチェンジまでのアクセス向上が必要と考えます。  そこで、笛吹八代スマートインターチェンジを生かした笛吹市内の道路整備について、県の御所見を伺います。  次に、県管理河川の伐木浚渫について伺います。  ことしも全国各地で河川の氾濫による洪水被害が頻発し、住民の生活や経済活動に深刻な影響が生じました。記憶に新しいところでは、九月に台風十五号が東海地方を襲い、隣接する静岡県において時間百十ミリを超える猛烈な雨により甚大な水害が発生しました。本県においては幸いこのような洪水被害はありませんでしたが、台風の進路が少しでも違っていれば同様の状況に陥っていたかもしれません。  また、一部報道では、ことしの七月から九月までの三カ月間に県内で発生した突発的局地的なゲリラ豪雨の数は、前年の同じ期間と比べて約一・二倍に増加しているとの調査結果が報告されています。こうした隣県の状況や身近なデータに触れますと、洪水に対する現実的な危機意識を抱かずにはいられません。  本県は周囲を急峻な山々に囲まれ、山間地を流れる急流河川や低地を流れる比較的勾配のゆるい河川など、さまざまな河川が混在しております。私の地元の峡東地域においても、同様の大小河川が多数存在しており、かつては笛吹川などが氾濫して尊い命が奪われる甚大な洪水被害が発生しました。  長い年月の過程の中で、国や県の尽力により河川改修が進み、また昨今は河川内の支障木の伐採や堆積土砂のしゅんせつも行われて、河川の流下能力が向上し一定の安全性が確保されてきていることは承知しております。  しかしながら、金川や日川など扇状地特有の山間部からの土砂の流れ込みが多い河川においては、取水のたびに土砂が堆積を繰り返す箇所も見受けられ、地域からは水害リスクを心配する声が多く寄せられています。  特に、河川周辺で市街化が進む地域では、一たび河川が氾濫すれば甚大な被害が発生すると懸念されます。洪水被害から県民の生命・財産を守るためには、河川の状況や変化を把握しながら伐木やしゅんせつを適時適切に行い、常に洪水に備えることが必要であると考えます。  そこで、県管理河川における伐木、しゅんせつの取り組み状況について伺います。  次に、県発注工事の残土の処理について伺います。  安全に安心して暮らせる地域づくりのためには、近年の大雨による災害の頻発や将来の発生が想定される富士山噴火、南海トラフ地震など自然の脅威に備え着実に防災減災対策を推し進めることが重要です。国土強靱化基本法の施行から十年目を迎え、国では五カ年加速化対策のフォローアップを行い、さらなる加速化、進化を踏まえた国土づくりに取り組むこととしております。  県においても、社会資本整備重点計画に長期的な公共事業の見通しとして、令和七年までの六年間における四千六百億円の想定事業料を示し、防災減災対策を加速する姿勢を示しています。  計画の着実な推進は、強靱な県土を築くために必要であることはもとより、その実行を担う建設産業の経営の安定的な維持・発展にもつながるものと評価しております。この社会資本整備を根底で支えるのは確保された事業予算の円滑な執行にあると考えますが、一つ大きな課題となっておりますのが残土処分であります。  県発注の公共工事では、本県特有の地形的制約から、現場で出た土が有効活用できないばかりか、他の工事で活用を図ろうにも搬入する時期や土の性質が合わないなどの理由で調整がつかず、処分に苦慮をされていると承知しております。  したがって、県発注の公共工事では、発生する残土の処分先をあらかじめ定めておくことや将来計画に見合う残土量を十分に処理できる処分先の確保が重要であると考えます。しかし、私の地元の峡東地域や急峻な地形を有する峡南地域などでは、公共工事で発生する残土の置き場の適地が少なく、工事を請け負った建設業者が処分先の確保に奔走しているとの話も聞いております。  そこで、事業の着実な執行を確保するため、県が残土の処分先の確保に積極的に関わるべきと考えますが、県の御所見を伺います。  最後に、防犯カメラの設置促進について伺います。  昨年の本県における刑法犯認知件数は二千七百四十八件であり、戦後最小を記録しました。しかし、本年に入ってからは自転車の盗難や自動販売機荒らしなどの街頭犯罪が増加傾向にあり、全体的に見ても犯罪発生件数の減少傾向には陰りが見えています。さらに、誘拐事件や性犯罪の予兆ともいえる子供や女性に対する声かけ事案、住宅への侵入窃盗事件など、私たちの身近で発生し地域住民が不安を感じる犯罪も少なからず発生しています。  残念ながら、県民の体感治安は、いまだ改善されてはいないと考えます。こうした中、県警察は地域住民が安全に安心して暮らせる生活環境を確保するため、本年度、新たに防犯カメラの設置促進補助事業を開始いたしました。犯罪の未然防止や犯罪発生時の的確な対応に大きな効果が見込まれる防犯カメラの設置は、桐原正仁議員を中心に我が会派の関心事であり、この事業の創設を高く評価するとともに、その進捗と事業効果に対して関心を持ち続けているところであります。  近年、ドライブレコーダーや民間・公共施設への防犯カメラの設置が進む一方で、県民の安心と安全の確保を目的とした防犯カメラは、いまだ十分に普及しておりません。  県警察が本年度から開始したこの事業は、まさに地域の防犯力の強化に向けて待ち望まれていたものであると考えます。  今後、県内各市町村においても同様の制度が導入され、さらなる防犯力の強化につながっていくことを切に願うところであります。しかしながら、整備される防犯カメラが実際に地域で活用されなければ意味をなさないことから、その運用状況については常に適正な管理が必要であると考えます。  そこで、改めて県警察が実施している防犯カメラ設置促進補助事業の進捗状況と今後の取り組みについて伺います。  以上で、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。 3 ◯議長久保田松幸君)杉原清仁君の質疑、質問が終わりました。  これより当局の答弁を求めます。知事、長崎幸太郎君。       (知事 長崎幸太郎君登壇) 4 ◯知事長崎幸太郎君)杉原議員の御質問にお答え申し上げます。  ただいまは自由民主党新緑の会を代表され、県政各般にわたり御質問をいただきました。  新型コロナウイルス感染症における基本的な考え方への深い御理解と共感をいただきながら、本県の感染症対策に高い御評価を賜りますとともに、私の今後の県政運営に大いなる御期待をお寄せいただき心から感謝を申し上げます。  杉原議員を初め自由民主党新緑の会に所属する議員の皆様方におかれましては、会派の理念である現場主義に貫かれた政策集団として、常に地域の声を県政に届けることに心を砕かれ、建設的な御提案をいただいていることに深く敬意を表するものであります。  私も県民全体の利益の最大化を目指す真の県民派県政を実現し、県民お一人お一人に豊かさを届けるべく、今後とも自由民主党新緑の会の皆様とともに、全身全霊で取り組んでまいりますことを誓いし、以下答弁に入ります。  初めに、犯罪被害者等支援条例の制定についてです。  条例案では、犯罪被害者は個人の尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい処遇を保証される権利があることを明示し、必要な支援を切れ目なく行い、社会全体で支える旨を基本理念として定めました。  本条例案の特徴の一つは、県が市町村や関係機関などと連携して被害者支援に取り組むための協議会を設置することを明記し、連携協力における県の責務を明確にしたことであります。  二つ目は、未成年の被害者に対して、その発達段階に応じた適切な保健医療や福祉サービスが受けられるよう、十分な配慮を行うものとしたことであります。さらに、県外の方が本県で被害に遭った場合の支援や死傷者が多数に上るなどの大規模事案が発生した際の緊急支援についても規定を設けており、こうした点が本条例案の特徴となっております。  今後は、市町村や支援団体などから御意見をいただきながら具体的な施策を定めた計画を策定し、確実に支援を進めてまいります。  また、議員御指摘のとおり、支援の実効性を高めるには市町村の協力が不可欠なため、条例の内容や具体的な支援事例などの説明会を開催し、支援施策の策定や実施を働きかけることとしております。  さらに、条例を解説したリーフレットなどを活用して、県民の皆様の理解を深めるなど、県民総意のもと犯罪被害者支援に取り組む体制づくりに努めてまいります。  次に、持続可能な救急医療体制の整備についてです。  県民の命に直結する救急医療体制につきましては、令和六年度からの医師の働き方改革の施行に伴い、大きな見直しを迫られています。  このため、県では、昨年度実施した実態調査の結果から判明した課題の解決に向けまして、関係団体とともに検討を行っているところであります。  関係者から、初期救急医療につきましては、国中地域に軽症患者を一元的に診察する初期救急センターを設置すること、富士・東部地域は二次救急病院が軽症患者にも対応している現行体制の継続が望ましいことなどの御意見をいただいております。また、二次救急体制につきましては、国中エリア全体を一つの圏域にする必要があるとの御意見もいただいております。  今後、広域化に伴う住民の利便性の確保などの課題について検討を進め、本年度中に令和六年度以降の救急医療体制をお示ししたいと考えております。  なお、医療機関における宿日直につきまして、県では、医療業務の特殊性などに鑑み、国に対し許可基準の柔軟な運用を強く要望いたしました。  次に、貧困の連鎖を断つ子どもの教育支援についてです。  本県の生活保護世帯の大学等進学率は三三・三%であり、一般世帯の半数にも満たない状況であります。  いかなる家庭環境の子供であっても、希望を失わず夢を掲げて学び続けられることは極めて重要であり、山梨の宝である子供の可能性が、貧困によって左右されない学習環境づくりが必要不可欠であります。  このため、県では、一人一人の子供に向き合えるきめ細やかな指導ができる質の高い教育の実現に向けて、二十五人学級を初めとした少人数教育の推進に全力で取り組んでいます。  また、生活が苦しい家庭の子供たちが、自分の希望を諦めることがないよう、学校において早い段階から進路希望や学習状況の実態把握を行い、一人一人に応じた丁寧なサポートの充実を図ってまいります。  さらに、学校以外の学びの場として、県では、こうした家庭の中高生を対象に、身近な公民館などにおいて生活面の相談とともに学習支援を行ってまいりました。  これまで、学習意欲が高まったなどの声を聞いており、本年度は、県からの事業受託者が実施する模擬試験への参加を無料とし、支援の充実を図ったところであります。  今後は、生活保護世帯であるがゆえに大学進学や夢を諦めることがないよう、民間大学予備校への受講料や教材費の助成など、民間学習塾を活用した教育支援など、新たな施策の検討を進め、貧困の連鎖を断つ中長期的な対策を講じてまいります。  次に、本格的な観光再開を迎えた観光振興策についてです。  議員御指摘のとおり、コロナ禍で観光ニーズに多様化や変化がもたらされました。特に団体旅行から個人や家庭単位の旅行へのシフトが進み、より豊かな観光体験を求める傾向が顕著になりました。  このため、今後の観光のあり方としては、高付加価値化とともに、来県動機づけの多様化を図ることが肝要であります。そのことにより、滞在時間の延長、リピート率の向上が図られ、地域での消費拡大が期待されます。  そこで、県では、食の魅力向上、特別なアクティビティーの開発促進など、観光資源の高付加価値化を図り、幅広い観光客に満足してもらえる取り組みを進めてまいります。  また、スポーツや文化芸術、地場産業など、従来活用してこなかった地域資源を観光に結びつけ、来県理由の多様化につなげることとしております。  例えば、この秋開催いたしました東京ガールズコレクションでは、若者への認知度向上と約十億円の経済効果がもたらされ、新たな観光の切り口を見いだすことができました。  さらに、回復しつつあるインバウンド観光につきましては、これまでの薄利多売型から、富裕層の関心を引く体験メニューなど付加価値の高い滞在コンテンツが提供できる高収益型の観光へと変革を加速させてまいります。  こうした取り組みによりまして、本県ならではの価値を付加した新たな楽しみ方を充実させるとともに、国内外の市場に提案し、本県の観光振興につなげてまいります。  次に、デジタル技術を活用した文化資源の魅力向上についてです。  本県の貴重な文化財や優れた文化芸術は、デジタル技術を活用して公開することにより、時間や空間の壁を越えて気軽に親しむことができるようになります。  このため、県では、新たな体験により文化資源の魅力を感じていただけるよう、デジタル技術を活用したさまざまな取り組みを推進しております。  具体的には、甲斐銚子塚古墳などの遺跡や出土品の発掘体験などが行えるARアプリを公開し、リアルな鑑賞体験は多くの方々から好評を得ております。  また、本年三月には、県立美術館のミレーの作品を、超高精細画像をもとに3Dデジタル技術で再現したクローン文化財の企画展を開催したところです。  今後、その他の作品のデジタル化を進め、作品の館内投影などの新たな展示手法により作品の魅力を発信してまいります。  さらに、先月、県立美術館メタバースプロジェクトを始動し、デジタルアート展示を開始したところであります。  このメタバースプロジェクトでは、館内に体験スペースを整備し、作家と子供たちとのワークショップなどにより、新たな文化芸術の体験機会を提供します。  こうした取り組みによりまして、文化資源に新たな価値と楽しみ方を付加し、その魅力を向上させるとともに、本県観光コンテンツの充実につなげてまいります。  次に、信玄公祭りの新たな展開についてです。  信玄公祭りは、甲州軍団出陣を最大の呼びものとしながら、毎年少しずつ工夫を加え、半世紀にわたり開催されてきた県下最大のお祭りであります。  ことしは三年半ぶりの開催でもあり、県民総参加による過去最大の祭りとすることを目標に、さまざまな趣向を凝らしたところであります。  まず、お祭りを秋に開催することとし、ハロウィンと連動させて若者の関心を高めるとともに、秋の観光シーズンの目玉といたしました。  また、県民誰もが楽しめる祭りである象徴的な催し物として、多様な参加者による仮装パレードを平和通りに展開し、今までにないにぎわいをつくり出しました。  さらに、県内各地でミニ出陣式を開催するとともに、電車による武者の参集を行い、祭りの雰囲気が全県に広がるよう取り組みました。  こうした県民総参加を基本とした新たな試みは、今後のお祭りにおいて、より進化させていくべきものと考えております。  また、議員御提案の、全国の武田信玄公ゆかりの祭りとの連携は、信玄公祭りを全国に開くものであり、新たな魅力向上策の一つになるものと考えます。  現在、信玄公祭り実行委員会では、これからの祭りのあり方を検討しており、今後さらに議論を深め、付加価値の高い世界に誇れる信玄公祭りとしてまいります。  次に、米国産桃の輸入解禁への対応についてです。  まず、国に対し、米国産桃の輸入解禁に備え、優良品種への改植や補植、新品種の開発、輸出拡大に向けた支援を強く要請してきており、引き続き積極的に働きかけてまいります。  また、県におきましては、本年度、三回にわたり米国カリフォルニア州に職員を派遣し、米国におけるスモモや桃の生産・流通・販売の現地調査を行いました。  米国では、収穫や剪定作業は機械化・省力化が進んでおり、また、出荷につきましては五月から十一月までと、本県産桃の出荷時期を網羅していることがわかりました。  また、果実の品質につきましては、糖度は高い傾向にあるものの、小玉なものが多く、品質のばらつきが見られました。  さらに、米国産桃が輸入された場合の販売価格は、既に輸入されているスモモから類推いたしますと、一キロ当たり千二百円程度と予想され、これは日本国内の量販店における本県産桃より三百円程度安価となります。  今後、日本向けに品質の高い大玉を厳選して輸出することとなれば、為替相場や輸送費の動向にもよりますが、日本産との競合が懸念されます。  このため、米国産桃の輸入解禁状況を注視しつつ、輸入が解禁されるまでに、産地と一体となって早急に産地強化策を講じてまいります。  まず、生産面におきましては、米国産桃との差別化を図るため、基盤整備を積極的に進めるとともに、県オリジナル品種などの優良品種への改植の加速化と、さらなる新品種の開発を早急に進めていきます。  また、JAと連携して指導体制をさらに強化し、果実の生産技術の向上を図ることにより、大玉で着色がよく、かつ高糖度のプレミアムな果実の生産に取り組んでまいります。  次に、流通面におきましては、消費者からの信頼がさらに高まるよう、規格の統一や鮮度保持などの徹底に向けて、集出荷施設の再編整備やコールドチェーンの構築など、共選・輸送体制の強化を図っていきます。  さらに、販売面では、国内外においてデジタルとリアルを効果的に組み合わせたプロモーションにより、ブランドの訴求に注力してまいります。
     具体的には、「おいしい未来へ やまなし」をキャッチフレーズに、本県産果実は匠の技でつくり上げられる芸術品であるというストーリーを動画で発信し、印象づけることでブランド価値向上を図ってまいります。  また、香港・台湾に加えまして、シンガポールやマレーシア・タイ・UAEにおいて、本県産果実が他産地と差別化できる商品であることを効果的に発信し、ブランド力の強化と販路拡大を図っていきます。  こうした産地強化策を産地や農家に丁寧に説明をし、JAなどと連携して生産・流通・販売の一連のプロセスを三位一体で高度化することによりまして、競争力の強化を図り、米国産桃の輸入解禁に万全を期して備えてまいりたいと考えております。  最後に、笛吹市内の道路整備についてです。  笛吹市内におきましては、石和町の中心部を通る国道二十号を東西軸として、国道百三十七号や国道四百十一号などの幹線道路が骨格となる道路ネットワークを形成しております。  また、笛吹川左岸には中央自動車道が走っており、平成二十九年に笛吹八代スマートインターチェンジが開通したことで、周辺には物流倉庫や農産物直売所が進出するなど、新たな交通需要が生まれております。  一方、国道二十号からスマートインターチェンジまでの経路としては、県道藤垈石和線がありますが、幅員が狭く、隘路となっており、アクセス道路が課題となっております。  このため、県では、スマートインターチェンジまでのアクセス道路として、国道二十号の成田交差点から南進する既存の市道を利用した新たな道路整備が有効であると考えております。  さらに、この道路を中央道沿いに延伸し、市が整備した砂原橋のアクセス道路につなぐことで、笛吹川左岸と右岸を結ぶ道路ネットワークが一層強化されます。  県といたしましては、この新たな道路整備は笛吹市内の道路網の再編に資することから、整備方針や役割分担などについて市と十分に協議を重ねながら、早期整備に向けてしっかりと取り組んでまいります。  以上をもちまして、私の答弁といたします。その他につきまして、担当の部長からお答え申し上げます。 5 ◯議長久保田松幸君)福祉保健部長、成島春仁君。       (福祉保健部長 成島春仁君登壇) 6 ◯福祉保健部長成島春仁君)杉原議員の御質問にお答えします。  まず、循環器病対策についてであります。  循環器病は、早期の発見と適切な治療を行うことで救命の可能性が高まることや予後の改善につながることから、議員御指摘のとおり、発症時の対応が非常に大切であり、正しい知識を持つことが重要です。  このため、本人や家族など、身近な人が発症の前兆や症状を理解することにより、発症時に適切な対応ができるよう、普及啓発を行っているところであります。  具体的には、冬季に患者が増加することから、発症の予防策や初期症状など、心疾患・脳血管疾患について先月よりユーチューブ広告を配信しております。  また、県ホームページで循環器病に関する情報を発信しておりますが、今後は、さらに内容を充実させ、心臓弁膜症も含め、さまざまな情報を県民の皆様に届けてまいります。  さらに、救急隊員が急性期の疾患の症状を的確に把握し、迅速に、適切な医療機関に搬送できるよう研修を行うとともに、重篤な患者を確実に受け入れるため、あらかじめ指定した二次救急病院に病床を確保しております。  次に、成年後見制度の担い手の育成等についてであります。  認知症や知的障害などにより判断能力が十分でない方々の権利を擁護するため、成年後見制度は重要な制度であると認識しております。  このため、まずは広く県民に制度を周知していく必要があることから、県ホームページや市町村広報紙などを活用し普及啓発に取り組んでおります。  加えて、市町村に対し県内の先進事例を積極的に情報提供するとともに、後見人の報酬を一部助成するなど利用を促進しております。  また、高齢化の進展により成年後見制度を必要とする方の増加が見込まれることから、議員御指摘のとおり、担い手の育成が重要となります。  このため、県では、一般市民を対象に養成講座を開催しており、これまでに百五十名の方が終了するなど、多くの方が御活躍いただけるよう取り組んでおります。  今後も、市町村が行う養成研修を支援するなど、認知症などの方々の権利擁護を推進してまいります。  以上でございます。 7 ◯議長久保田松幸君)農政部長、大久保雅直君。       (農政部長 大久保雅直君登壇) 8 ◯農政部長大久保雅直君)杉原議員の果樹農業の経営リスクから農業者を守る取り組みについての御質問にお答えいたします。  議員御指摘のとおり、果樹経営においては、自然災害に加え、病虫害や盗難、価格下落のほか、農業者自身の病気やけがなど、さまざまなリスクがございます。  こうしたリスクから農業者を守るための国の制度として、自然災害などにより収穫量が減少した場合の損失を補填する農業共済と収入全体の減少を補償する収入保険が用意されております。  このうち収入保険は、農業者の経営努力では避けることのできない収入減少も補償対象であることから、農業者にとってメリットが大きく、県では、さまざまな機会を捉え加入を促進しております。  今後は、農業者と直接対話する機会をふやし、個々の経営状況に応じた保険加入を進めてまいります。  また、自然災害によるリスクの軽減を図るため、栽培する品目・品種の多様化による収穫時期の分散を進めるとともに、地球温暖化による気候変動に強い品種の開発・普及にも引き続き取り組んでまいります。  さらに、JAなど関係機関と連携し、病害虫の大規模被害を防ぐための事前対策の徹底や地域ぐるみでの防犯体制の整備を促進し、リスクに強い産地づくりに努めていきます。  加えて、ブドウの甲斐ベリー7や桃の夢みずきなどの県オリジナル品種の普及や県産果実の高品質化を進めることにより、他産地との差別化を図り、価格下落の影響を受けにくい産地づくりに取り組んでまいります。  以上でございます。 9 ◯議長久保田松幸君)県土整備部長、飯野照久君。       (県土整備部長 飯野照久君登壇) 10 ◯県土整備部長飯野照久君)杉原議員の御質問にお答えします。  まず、県管理河川の伐木浚渫についてであります。  近年、気候変動により大規模な水害が頻発しており、河川の流下能力を確保し洪水による氾濫を未然に防ぐためには、伐木やしゅんせつを適切に実施することが重要であります。  このため、県では、一たび氾濫すると被害が甚大となる市街地を流れる河川など、優先度を考慮して計画的に伐木やしゅんせつを実施しております。  また、台風などの出水で一度に大量の土砂が堆積した箇所についても、直ちに点検し迅速に対応することとしています。  県では、これまで、国の三カ年緊急対策予算が措置された平成三十年度から、笛吹市内を流れる金川や甲府市内の荒川など、百二十二河川、三百十キロメートルの対策を実施してきたところであります。  また、新たな取り組みとして、しゅんせつ土のうち良質な土砂を一時的にストックした後、建設資材として有効利用する仕組みを現在検討しております。  今後も、国の防災・減災、国土強靱化の五カ年加速化対策や緊急浚渫推進事業債などを活用しながら、伐木やしゅんせつを着実に実施し、適時適切な河川の維持管理に努めてまいります。  次に、県発注工事の残土処理についてであります。  公共工事においては、建設発生土を抑制するために、現場内での利用を基本とし、有効活用を図ることとしております。  現場内で利用できない場合は他の工事での活用を促進するため、建設工事の情報を集め、土の搬入時期を調整するストックヤードへの仮置きを行っております。  また、大規模な道路工事や圃場整備のように大量の土を必要とする工事と連携を図り、利活用の拡大に取り組んでいます。  なお、災害復旧など計画的に土を活用することが難しい工事の受け皿として、地域の建設業者で構成する団体の協力を得て、数年間利用が可能な公共残土処分場を設置しております。  処分場の設置に際しましては、測量調査から設計、関係法令に基づく手続を県がみずから行い、管理・運営を地域の建設業者に委託しております。  さらに、搬入する建設発生土が適正かつ安全に処理されるよう、段階的な確認や完成時の最終検査などを実施することとしております。  今後も、公共工事が計画的かつ円滑に執行できるよう、県が主体となって建設発生土の有効活用に取り組んでまいります。  以上でございます。 11 ◯議長久保田松幸君)警察本部長、伊藤隆行君。       (警察本部長 伊藤隆行君登壇) 12 ◯警察本部長伊藤隆行君)杉原議員の防犯カメラの設置促進についての御質問にお答えいたします。  御指摘の防犯カメラ設置促進補助事業については、年度当初から市町村や自治会への周知を図り、設置希望者に対しては、面接による事業説明や聞き取りを丁寧に行ってまいりました。  また、具体的な設置場所については、設置者と相談の上、現地調査も行い、声かけ事案や街頭犯罪の発生状況などを勘案し、公園や通学路などの高い防犯効果を見込める場所を選定してまいりました。その結果、十四の自治体や自治会に対して合計四十二台分の設置費用を補助することを決定し、このうち、一村八自治会の十九台については既に運用を開始してございます。  県警察においては、今後も速やかな防犯カメラの設置を支援し、また、御指摘のとおり、設置後においても効果的に活用することが大事でございますので、設置後においても防犯カメラが効果的に運用されるよう、設置者と連携して継続的に取り組んでまいります。  以上でございます。 13 ◯議長久保田松幸君)当局の答弁が終わりました。  杉原清仁君に申し上げます。再質問はありませんか。 14 ◯杉原清仁君 ございません。 15 ◯議長久保田松幸君)これをもって杉原清仁君の代表質問を打ち切ります。  暫時休憩いたします。                                          午前十一時四十二分休憩        ───────────────────────────────────────                                          午後一時零分再開議 16 ◯議長久保田松幸君)休憩前に引き続き会議を開きます。  日程第一及び日程第二の議事を継続いたします。  発言の通告により、早川浩君に四十分の発言を許します。早川浩君。       (早川 浩君登壇)(拍手) 17 ◯早川 浩君 自由民主党・山梨を代表して質問いたします。  志定まれば、気盛んなり。私塾、松下村塾で、高杉晋作や久坂玄瑞など明治維新において重要な働きをする多くの志士たちに思想的影響を与えた吉田松陰の言葉です。  この言葉は、人は目標が決まれば意気が高まり、その実現に向けて全力を尽くすことができる。どのような障害にも立ち向かって目標を実現できると解釈できます。  まさに今、長崎知事も私も、同じ思いを抱いているものと考えています。  知事は、山梨県を「令和の雄藩に」「日本のトップランナーに」と繰り返し述べられ、山梨を前に進めるさまざまな政策を実行され、新型コロナウイルス感染症という未曽有の困難に直面しても、スピード感あふれる高度な行政手腕を遺憾なく発揮されています。  また、松陰は、こうも言っています。慨然として国天下を以ってみずから任ずべし。すなわち気力を奮い起こして、政に対する自分の責任を自覚すべきだと。私も知事と同じく、志士の心と実行力を持って、今後も地域の政治にかかわっていく覚悟であることをお誓い申し上げ、以下、質問に入ります。  まず、富士山登山鉄道構想について伺います。  富士北麓地域は、日本の国立公園で、最も来訪者が多い富士箱根伊豆国立公園において、常に中心的な位置づけと役割を担ってきました。  歴史をひもとけば、大正十二年、内務省が日本を代表する景勝地を国立公園とすべく候補地を選定した際に、当然のごとく真っ先に名前が挙がったのが富士山だと言われています。  当時の内務省が考える国立公園のあり方は、一定区域の風景を永遠に保存するとともに、公衆への供用、すなわち観光開発などの経済振興を両立させるものでした。  こうした政府の動向を踏まえ、大正十四年に当時の本間利雄知事が富士岳麓開発計画書を策定し、その翌年には、富士山麓電気鉄道が設立されるなど、現在の富士山観光の礎が築かれました。  さらに、高度経済成長期の真っただ中の昭和三十年代後半には、国の全国総合開発計画に歩調を合わせ、富士北麓開発計画が策定されました。  その基本方針では、歴史的な権益問題などに配慮しつつ、国際的な観光地としての優れた自然的特質を最大限に生かして、国土の象徴的な風景・資源地帯であるとの認識に立って、自然保護や風景保存と土地利用開発との高度な調和を図ることが必要と述べられています。  その上で、地域特性を踏まえた将来像を描き、そこに至る道筋を土地利用計画や交通計画、観光計画などの個別計画で整理をしており、こうしたグランドデザインの考え方は非常に重要であると考えます。  特に、人口が減少し、社会経済構造が大きく変化をする、まさに時代の大きな転換点に立っている私たちは、数十年、数百年先の地域のあるべき姿を思い描き、そこを目指す道筋を共有しながら、協力し合って持続可能な地域社会を形成していかなければなりません。  その意味では、およそ百年前の大正の岳麓開発計画、六十年前の昭和の北麓開発計画に続いて、令和の北麓グランドデザインがあってしかるべきではないでしょうか。  このグランドデザインの具体的な内容については、これから地域の皆さんとともに考えていきたいと思いますが、富士山登山鉄道構想は、その中心的なプロジェクトに位置づけられるものと思います。  ルートや駆動方式、環境対策、さらには事業スキームなど、登山鉄道の具体的な内容についてはしっかり議論しなければなりませんが、地元としては、まずこの登山鉄道が地域にどのような効果・効用をもたらすのかを理解することが出発点になると思います。  そこで、この北麓グランドデザインなどを念頭に、富士山登山鉄道構想の意義や地域への波及効果をどのように捉えているのか伺います。  次に、県内へのスポーツ合宿や大会の誘致について伺います。  首都圏に隣接しながら、富士山や富士五湖など大自然に恵まれ、避暑地として快適に過ごせる富士北麓地域は、昔からスポーツの合宿地として多くの人々に愛されてきました。  合宿が盛んな山中湖村の平野地区や鳴沢村にあるスポーツ施設だけでも、コロナ前は年間二十万人を超える人が合宿に訪れており、合宿の期間、地元は大学生などで大変にぎわっていました。  また、私の地元、富士吉田市は、二〇一九年に日本を会場としてアジアで初めて開催されたラグビーワールドカップや、東京二〇二〇オリンピック大会の七人制ラグビーで、フランス代表チームの事前合宿地に選ばれました。
     私は、これらの合宿の誘致に携わり、首都圏からのアクセスのよさや富士山の裾野に広がる大自然、富士北麓公園を初めとした施設の充実に加えて、国際的な観光地としてのおもてなしのスキルの高さなどを積極的にアピールしてまいりました。  特に、ラグビーワールドカップに向けた合宿期間中は、選手、関係者だけではなく、選手を一目見たいという観光客や練習の見学に訪れる学生などで、宿泊施設や飲食店など地域が大変にぎわいました。  ことし七月に、昨年のオリンピック大会で事前合宿をした選手二名が再び来日し、富士吉田市役所を表敬訪問した際には、「事前合宿は、いい思い出ばかり」とコメントをいただき、富士北麓地域が合宿地として国際的にも通用するとの思いを強く抱いたところです。  このように県や市町村などが組織立って総合的にプロモートする合宿は、多くの人々を県内に呼び込みますが、スポーツにより安定した誘客を継続していくためには、加えて大会やイベントを誘致していくことも有効であると考えます。  私は、先日、スケートボードのアーバンスポーツのイベントを指導者の人たちと協力して、富士北麓公園で開催しました。  多くの親子連れなどが集まり、イベントの継続開催を望む声も聞かれ、スポーツイベントのニーズの高さを改めて認識したところです。  多くの人を引きつけ、多くの産業に波及効果がある合宿やスポーツ大会は、まさにスポーツによる地域活性化の核になるものと考えます。  そこで、合宿やスポーツ大会を誘致するために、現在、県が行っている取り組みと今後の進め方について伺います。  次に、北富士演習場使用協定について伺います。  現在の我が国を取り巻く安全保障環境は極めて厳しい状況にあり、国の安全保障政策上、北富士演習場の重要性は一段と増していると認識しています。  しかしながら、北富士演習場の存在は、演習場周辺に生活する住民にとって日常生活に負担がかかっており、住民は、訓練中の騒音や振動、事故への不安など、さまざまな問題を抱えながら暮らしています。  このため、地元市村等は、これまで使用協定締結に当たり、国と県に対し、地域振興に資する多様な事業を実施できるよう要望していますが、その中でも、道路や公共施設、社会基盤整備を推進するため、国に要望するものが周辺整備五カ年計画です。  この計画を積極的に実施・支援することにより、地域住民の生活への影響を少しでも緩和することが重要であると考えますが、現行の第十次使用協定の期間満了まで残り約四カ月となるに当たって、現在の周辺整備事業五カ年計画の実施状況について、まず伺います。  また、北富士演習場使用協定の始まりは、昭和四十七年八月、当時の田辺国男知事が県民への談話を発表し、じくじたる思いで北富士演習場の米軍から自衛隊への使用転換について了とすることを告げて、当該年度だけの暫定使用協定に調印したことによるものであります。  それ以来、五年ごとに使用協定を更新し、波乱含みの歴史を繰り返しながらも、本年で五十年、半世紀が経過しています。  私も、この間、平成二十三年に北富士演習場対策協議会の理事となって以来、地元から出された要望を真摯に受けとめ、地元との調整を行ってきましたが、特に第九次使用協定の締結に当たっては、地元と調整がつかない事項について、県にあっせん案を提示するなど、微力ながら力を尽くしてまいりました。  私自身、地元で生まれ育ち、今も地元で生活をしている住民の一人として、生活環境の安定を図るため、県が北富士演習場に係る諸課題に対して、時として周辺市村及び恩賜林組合のフロントに立ち、対応することを含めて、北富士演習場問題は今もって県政の重要課題の一つであるべきと考えています。  そこで、この北富士演習場使用協定の五十年を総括して、知事の所見を伺います。  次に、リニア山梨県駅から県内各地へのアクセスについて伺います。  知事は折に触れ、開かれた国と書いて「開の国」という表現を使われ、本県に国内外の多くの人々が往来し、社会・経済・文化芸術等、さまざまな分野でイノベーティブな交流が生まれる、まさに海と空に開かれた「開の国・山梨」の実現を提唱されています。  私は、この「開の国」という知事の表現は、本県がさまざまな分野のイノベーティブ人材の交流の場として全国的に知れ渡れば、変動の激しい現在の社会情勢にあっても、交流の場という普遍的な価値によって持続的に発展していく、そんな未来を見据えた考えであると理解しています。  そして、リニアの開業は、「開の国」実現に向け、キーとなる重要な要素であります。  私も、本県の未来のありようについての思いを巡らす一人として、リニア開業を契機として、「開の国」実現に向けて、本県に導入可能な技術等を常にアンテナ高く情報収集してまいりました。  例えば、実用化された技術では、リニア駅から移動拠点としてヘリポートを県内各所に置き、富裕層のヘリコプターでの移動の受皿となることも考えられます。  また、現在研究が進められている技術では、リニア駅と県内の各地を結ぶ手段として自動運転を活用することや県内主要拠点へのアクセス向上の一環として、空飛ぶクルマを活用する可能性などに思いを巡らせています。  自動運転については、レベル四、すなわち高速道路など、特定の環境下において運転手不要の自動運転が来年四月には解禁される見込みとなっており、さらにその先には一般道路を含めた全ての環境下での自動運転の実現も視野に入ってきています。  そして、空飛ぶクルマについては、二〇二五年の大阪・関西万博を皮切りに、商用運行の開始が予定され、夢のある未来の乗り物による交通ネットワークの実用化がすぐそこに迫っています。  こうした新しく夢のある技術の導入について、いち早く検討を始めている自治体もある状況です。  そこで、本県においても他の自治体に乗りおくれることのないように、まずはリニア駅から県内各地へのアクセスにこうした新しい技術の導入も検討していく必要があると考えます。県の所見を伺います。  次に、富士・東部地域における医療提供体制の確保について伺います。  私の地元である富士・東部地域における医療提供体制は、現状、国中地域と比べて脆弱であり、大変心配な状況です。  例えば、人口十万人当たりでは、医療施設に従事する医師数は、中北地域の三百十二人に対して、富士・東部地域は百五十七人、看護職員数は、中北地域の約千三十人に対して、富士・東部地域は九百四十人と、いずれも少なく、格差がある状況です。  さらに、今後、富士吉田市立看護専門学校が閉校した場合には、富士・東部地域における看護師の確保は一層厳しくなっていくことが危惧されています。  また、救急医療体制についても、富士・東部地域の夜間における初期救急の患者は、在宅当番医などではなく、地域の二次救急病院で対応しており、中北地域や峡東地域よりも、病院に係る負担は大きくなっています。  地域間の格差はできるだけ是正していくことが望ましく、県では、これまで関係機関と協力して医師や看護師の育成・確保や医療機関の連携促進など、さまざまな施策により対応してきたことは承知をしています。  困難な課題ではありますが、今後とも県が主導して、関係者の英知を結集して、課題の解決に向けた取り組みをお願いいたします。  地域間の格差を是正し、望ましい医療提供体制を構築するには、AIを活用して医療の効率化や医療従事者の負担軽減を図るAIホスピタルなど、国が主導して開発を進めている先進技術の導入も効果的であると考えます。  私は、こうした新たな技術を積極的に導入していくことを提言します。  県民がいつでもどこでもひとしく信頼できる必要な医療を受けられる体制を確保することは、安全・安心な生活を送る上で欠かせない重要な施策です。  富士・東部地域に光を当て、医療の分野でも誰一人取り残されない社会を実現すべきと考えます。  そこで、県では、富士・東部地域における医療提供体制の確保に向けてどのように取り組んでいくのか、所見を伺います。  次に、未来を担う子供たちの安全な保育環境の整備について伺います。  本年九月に静岡県の認定こども園において、園児が送迎バス内に取り残され、死亡するという大変痛ましい事案が発生したことは記憶に新しいところです。  同様の事案は、昨年七月にも福岡県で発生しており、幼い命が奪われる事故を二度と起こさないよう、全国的に早急な対応が求められています。  国も事案の重大性に鑑み、次々と緊急対策を打ち出しています。この九月には、各都道府県及び市町村を通してバス送迎に当たっての安全管理に関する緊急点検を実施し、点検の結果を踏まえて、子供のバス送迎・安全徹底プランを打ち出しました。  この中では、バス送迎時における子供の所在確認や安全装置の装備の義務づけ、安全管理マニュアルの活用などが明記され、あわせて送迎バスの安全装置に対して国が設置費用を補助する方針も示されています。  さらに、送迎バスを運行している全ての施設に対し、全国一斉に十二月末までに実地調査を行うこととしており、このようなさまざまな取り組みにより、送迎バスの安全対策がより一層進むものと思われます。  一方で、毎年、内閣府から公表される保育所等における事故報告集計によると、昼寝や食事中における重大事故も発生しており、医療的ケア児の受け入れなど、今後における多様な保育ニーズに対応していくためにも、安全対策の徹底が重要となります。  乳幼児期は、生涯にわたる生きる力の基礎が培われる時期であり、自己肯定感や道徳性・創造性を育むことが求められますが、その前提として、子供たちが安全に過ごせる環境がなくてはなりません。  本県は、子育てしやすさ日本一の実現に向けさまざまな施策を行っていますが、未来を担う子供たちの安全な保育環境の整備に向けて、県ではどのように取り組んでいくのか所見を伺います。  次に、水素・燃料電池関連産業の集積に向けた取り組みについて伺います。  地球温暖化が原因と思われる極端な気象の変化が世界各地で頻発する中、気候変動対策は待ったなしの喫緊の課題です。  このため、全世界で脱炭素化に向けた動きが加速しており、G20の全ての国を含む世界百五十カ国以上が年限つきのカーボンニュートラルの実現を表明しています。  我が国においても、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けて、第六次エネルギー基本計画では、二〇三〇年までに温室効果ガスを四六%削減するという目標を掲げています。その実現の鍵を握るのが、新時代のエネルギーとして注目される水素であります。  県では、五十年以上にわたり研究開発を行っている山梨大学などと協力し、研究開発の拠点化や産業化を全国に先駆けて推進してきていると承知しています。  また、全国の自治体では唯一のエネルギー貯蔵に関する研究サイトを米倉山で運営し、今やP2Gシステムには、国内のみならず、全世界から注目が集まっています。  さらに、米倉山では、水素を中心とした次世代エネルギーに関する最先端の研究を行う企業、そして我が国を代表する燃料電池の研究・評価機関であるFC─Cubicが入居をする次世代エネルギーシステム研究開発ビレッジの建設が進められていると承知をしています。  このように、現在、米倉山を中心とするエリアに技術や人材が集積している状況ではありますが、将来的には、世界文化遺産である富士山の麓においても、クリーンエネルギーの雄である水素・燃料電池に関連する産業を集積させることによって、環境とテクノロジーが共存する先進地域として、我が国のカーボンニュートラルを牽引していくことが強く期待されます。  私は、存在感を高めている医療機器産業とともに、本産業の集積により、山梨が富士北麓を含む全ての県域において、健康と環境をつくり出すフロンティアとなることを願っております。  そこで、本産業の集積に向けて、県内企業に対してどのような参入支援を行っているのか伺います。  次に、メディカル・デバイス・コリドー構想のさらなる推進について伺います。  私は、医療機器産業の振興をライフワークとして、ファルマバレーを擁する静岡県との連携を初めとしたさまざまな政策提言を行うとともに、地元である富士東部地域の製造業者の方々との医療産業研究会に参加をして、県内企業の医療機器産業への参入促進に向けた活動を続けてまいりました。  この間、志を同じくする長崎知事が、メディカル・デバイス・コリドー構想を掲げ就任され、支援センターの設置や静岡県との広域連携など次々と政策を実現されました。  今月には、私もともに支援してきた富士北麓地域の企業が、大手医療機器メーカーから数十億円規模の高度先端医療機器の製造受託に伴い、建設を進めていた新工場の竣工式を行う運びとなるなど、これまでの取り組みが実を結びつつあることを実感しております。  また、高齢者人口が増加し、健康寿命の延伸が求められる中、私がサポートする地元の医療産業研究会では、予防医療や健康管理に関する産業にも注目をしているところです。中でも、大麻草由来の成分の一つであるCBD(カンナビジオール)は、幻覚作用を有さず、抗てんかん作用や抗不安作用を有するとされ、欧米を中心に、難治性てんかん治療薬のような医薬品はもとより、食品やサプリメントの領域で急速に市場が拡大しています。世界的には、今後十年で約八兆円もの市場規模にまで成長するとの予測もあるなど、一大産業として注目されています。  我が国でも、今年度の骨太の方針に「大麻に関する制度を見直して、大麻由来医薬品の利用等に向けた必要な環境整備を進める」と記載されるなど、安全を前提とした医療や健康分野での活用が期待されています。  県内では、既に大麻取締法の改正を見据えて、本県出身者が代表を務める医療機器・医薬品の製造販売を行う都内の企業とCBD研究者の第一人者である昭和大学の佐藤均教授が、安全で適正な製品開発に向けたプロジェクトを進めており、私もサポートをしております。  来年度からのメディカル・デバイス・コリドー第二期計画では、この健康食品など新たな分野への参入も促進していくとのことですが、CBD製品のような市場の拡大が期待される分野に積極的に進出し、その成長を取り込んでいくことが重要と考えます。  そこで、ますます期待が膨らむメディカル・デバイス・コリドー2・0ですが、その取り組みの方向性について所見を伺います。  次に、郡内織物のマーケットイノベーションへの取り組みについて伺います。  本年は六月から早くも真夏のような暑さに見舞われたことに始まり、電力逼迫のおそれから節電を求められるなど、感染対策も相まって例年以上に厳しい酷暑の夏となりました。  こうした中、九月に、知事は富士吉田市とともに、郡内地域の織物の高い技術を生かした新たな夏服を発表しました。このプロジェクトは、いわばカイテキスタイル、快適なスタイルと甲斐国のテキスタイルを重ねた、私が考えた造語ですが、厳しい夏の暑さ対策のみならず、SDGsに取り組む企業活動にも訴求できる時宜にかなった取り組みです。カジュアルクールビズなどにより苦しい状況が続く織物業界にとって、新たな希望となるとともに、郡内織物の新たな可能性を大いに感じさせるものと評価しています。  今後は、県内はもちろん全国に向けて発信して、沖縄のかりゆしウェアのように広く普及をさせていくべきと考えますが、県の所見を伺います。  また、この新たな夏服は、生地にリネン、麻を使用したものですが、郡内地域にはリネン以外にも絹やキュプラといったそれぞれ優れた特徴のある素材が幾つもあります。  一方、製品の面で見ますと、全国有数の生産量を誇るネクタイやストールなどの服飾品のほか、伝統的な織物の素材や技術を生かしたコースターやノートといった生活雑貨など、従来の織物にとどまらないさまざまな製品を企画・開発し販売しています。  これらを踏まえると、織物業が持つ優れた素材と新たな用途を組み合わせることで、ネクタイや服地などの服飾品の域を越えて、多種多彩な製品の開発の可能性があると確信しています。  社会や環境は著しく変化をしている中、例えば、環境や社会等へ配慮するESGを軸として活動する先進的な経済主体との協働が求められるような未来において、時代のニーズを捉えた織物業を振興していくためには、とりわけ防災や医療、メディカルなど、服飾とは異なる分野への参入を図り、培ってきた技術を生かして新たなジャンルの製品を世に送り出して、市場を開拓していくマーケットイノベーションが肝要と考えます。  しかしながら、織物業を取り巻く状況を鑑みますと、意欲ある織物業者が新たな取り組みを進めるためには、新製品の企画や製品などに対する県のバックアップが不可欠であります。  そこで、県では、カイテキスタイルを目指した繊維マーケットイノベーションに対して、どのような支援を行っていくのか伺います。  次は、インバウンド観光客の獲得に向けたプロモーションの強化について伺います。  国では、本年十月十一日より、外国人の個人旅行客受け入れ及びビザなし渡航の解禁、入国者総数の上限撤廃などにより、インバウンド観光の受け入れを本格的に再開したところです。最近の報道では、浅草や京都などの観光地に多くのインバウンド観光客が訪れ、記念写真を撮るなどにぎわいを見せる様子が報じられています。  私の地元、富士北麓地域でも多くのインバウンド観光客の姿が見られるとともに、宿泊施設によっては、インバウンドの予約が七割にも上ったという話を聞き、コロナ禍で失われた需要が戻り始めていることをうれしく思います。  世界の宝、富士山を有する本県は、インバウンド観光客の誘客に対して大きなアドバンテージがありますが、まだまだ世界的に知られていない魅力のある資源を有していると思っています。  例えば、私の地元富士吉田には、世界文化遺産の構成資産、北口浅間神社、富士山信仰の歴史を残す御師の家や、レトロな街並みと電線・富士山とのカオスな風景の写真スポット、本町通り商店街、そして、五重の塔と富士山の景色が世界的に有名な忠霊塔など、一日では堪能し切れないインバウンド観光客を引きつける資源が数多くあります。  そしてまた、最近では、都内の一流有名シェフが富士北麓地域に出店予定であり、私は、この次に続く出店を呼び込むような食文化充実への取り組みは大切だと考えています。食は重要な資源であります。これらの観光資源を訪れてもらうためには、海外からの観光客に対して、旅行を計画する段階から他の地域との差別化を行い、本県ならではの魅力を積極的にPRし、魅力的な観光地として山梨を知ってもらう努力がさらに必要ではないでしょうか。  全国では、今般のインバウンド受け入れの本格的再開を受けて、急速的に動き出した海外の旅行需要を我先に取り込もうと、多くの地域が取り組みを進めています。  県としてもこうした動きにおくれを取らず、インバウンド観光客に山梨を旅行の目的として選定してもらえるよう、積極的に働きかけていく必要があると考えています。  そこで、このインバウンド観光客の獲得に向けたプロモーションの強化について、所見を伺います。  次に、高級宿泊施設の誘致について伺います。  本県は、世界遺産富士山を中心に日本有数の多彩な観光資源を有しており、コロナ禍前の令和元年には約二百万人もの多くの外国人観光客が来県していました。ポストコロナにおいても、インバウンドには大きな可能性があり、国では二〇三〇年に訪日外国人旅行者数六千万人、訪日外国人旅行消費額十五兆円を目標にするなど、観光先進国の実現に取り組んでいます。特に、上質な観光サービスを求め、これに相応な対価を払う富裕層の旅行者の市場は今後も大きく成長することが予想されます。  こうした中、本県を訪れる観光客の特徴として、日帰り客が七割を超えており、宿泊客の増加、ひいては消費額の増加に結びつけていくことが課題となっています。  その一因として、世界のアッパークラスが共有している生活スタイルの要求に難なく応えられる食事や宿泊、遊びの提供施設や提供スタッフ等がそろった高級外資系ホテル、いわゆる三つ星・五つ星ホテルなど富裕層をターゲットとした宿泊施設が県内にほとんど立地していない現状があります。  観光庁によりますと、訪日富裕層の旅行者は、一般の訪日旅行者の十倍以上の消費をしていますが、地方には、それに見合うサービスと施設を備えた上質な宿泊施設が質・量ともに十分ではないとされています。  こうした中、観光庁が実施する、上質な宿泊施設の誘致に意欲的な自治体等と宿泊施設等をマッチングをする上質な宿泊施設の開発促進事業に、私の地元である富士吉田市が選定されました。  私は、富裕層の誘客は、県内のホテルの宿泊者を奪うものではなく、本県の観光産業に新たな需要を喚起して、県内のホテルとの相乗効果を生むとともに、地域ブランドの向上にも大きく寄与していくものと考えます。  以上のことを踏まえ、新たな客層を獲得し、本県観光産業の高付加価値化を促す観点からも、富裕層をターゲットとした高級宿泊施設の誘致に取り組むべきと考えますが、所見を伺います。  次に、世界遺産富士山が有する文化的な価値の普及啓発と活用について伺います。  今年二〇二二年は、富士講の開祖長谷川角行が吉田口登山道を開き、霊峰富士の山頂に立たれた元亀三年から四百五十年目という節目の年です。また、角行は後に、江戸で疫病が蔓延した際、病気を終息させる効力を持つお札であるフセギを数万の人々に配布をして救済したとも伝えられています。  それから令和の世になった現在、本県では新型コロナウイルス感染症が猛威を振るう中、長崎知事はいち早くグリーン・ゾーン構想を掲げて、県民の生命・経済を守るため、今もなお先頭に立って闘っています。  コロナによる影響は富士山にも大きな影を落としており、二〇二〇年のシーズンは開山すらできず、翌シーズンは感染防止対策を万全に行った上で開山することはできたものの、吉田ルートの登山者数は過去最低となりました。また、今シーズンの登山者数は約九万四千人まで回復したものの、コロナ前に比べますと六割程度でしかありません。来シーズンこそはコロナが収束し、インバウンドも含めた登山者や観光客が富士山に戻ってくることで、私の地元、富士北麓地域ににぎわいと潤いが再びもたらされることを強く願っています。
     さて、来年二〇二三年は、富士山が世界文化遺産に登録されて十周年という節目の年であり、富士山は新たな時代の幕開けを迎えようとしています。富士山は、信仰の対象、芸術の源泉として顕著な普遍的な価値が認められ、世界文化遺産となりましたが、かつての富士山信仰における登拝とはかけ離れた弾丸登山などがいまだに行われ、富士山の文化的な価値が理解されていないと感じています。  私は、登録十周年を契機として、富士山が有するすばらしい価値、とりわけ信仰の対象として文化的価値を改めて普及啓発していくべきと考えています。特に、来シーズンはインバウンドの本格的な回復が予想されており、外国人来訪者に対して、富士山のより高品位な文化的価値を興味深く伝えていくことで、例えば富裕層が潜在的に期待をしている富士山の魅力を提供することにもなり、富士山を核として山梨県土全体に世界のアッパークラスの集客も念頭に一層の経済効果につながるのではないでしょうか。  そこで、富士山が有する文化的な価値の普及啓発について、グレードの高い価値を提供し、これに相まった対価を得るという戦略を持った観光政策、経済政策の視点を踏まえて、県は今後どのように取り組んでいくのか伺います。  最後に、優良農地の確保と各種土地利用計画との調整について伺います。  農業は、国民生活に必要不可欠な食糧を供給するとともに、地域経済やコミュニティを支え、国土保全、水源の涵養、良好な景観形成等の多面的機能を有しています。こうしたことからも、我が国の経済・社会において、農業は重要な役割を担っております。最近では、ロシアによるウクライナ侵略等を背景として、食料自給率の向上や食料安全保障の観点から、優良農地を確保していく必要性はより高くなっていると認識をしています。このため一団のまとまった農地や基盤整備事業を実施した農地など、優良な農地については良好な状態で維持・保全し、その有効利用を図ることが重要であると考えます。  このような優良農地は、農業振興地域の整備に関する法律、いわゆる農振法で守られており、その個別具体的な計画は市町村が定め、管理をしています。  私の地元、富士吉田市においても、戦後、食糧を確保するため、祖父の世代が血のにじむ努力で原野を開墾して農地とした話も聞いており、農地は貴重なものと認識をしています。  しかし、その一方で、中部横断自動車道の山梨・静岡間の全線開通や中央自動車道スマートインターチェンジの整備など、社会情勢の変化から新たな土地需要の発生が見込まれているところです。  先月、県議会の本県の強靱化と高付加価値化に向けた土地利用規制のあり方に関する政策提言案作成委員会において、富士吉田西桂スマートインターチェンジ周辺の農地の現地調査を行いました。そこに私も参加をさせていただきました。富士吉田西桂スマートインターチェンジ周辺は、農地のほか工場や住宅、学校などがあり、今後、住環境など、さらに開発が期待されます。  私は、こうした場所については、山梨県都市計画マスタープランなどの土地利用計画との整合を図りながら、農地については、農振法に定められた要件の範囲で農業以外の用途にも活用できるよう、市町村の農業振興計画整備計画を弾力的に見直していく必要があると考えます。  そこで、県では、農振法による制限と変革著しい時代の新たな土地利用の需要の両立に向けて、優良農地の確保と各種土地利用計画との調整についてどのように考えているのか伺います。  以上で、私の山梨県議会議員三期目、本会議における最後の質問を終わります。  志定まれば、気盛んなり。そして、気盛んならば、天下に難事なし。これからも一日一日を懸命に努力精進してまいります。御清聴ありがとうございました。 18 ◯議長久保田松幸君)早川浩君の質疑・質問が終わりました。  これより、当局の答弁を求めます。知事、長崎幸太郎君。       (知事 長崎幸太郎君登壇) 19 ◯知事長崎幸太郎君)早川議員の御質問にお答え申し上げます。  ただいまは自由民主党・山梨を代表され、県政各般にわたり御質問をいただきました。吉田松陰の言葉を引用されながら、私の県政運営に対する評価をいただくとともに議員御自身も強い覚悟を持って地域政治にかかわっていく旨のお考えをお示しになられました。  早川議員におかれましては、未来を変えるとの志のもと、富士北麓地域を初めとする住民の皆様の声に真摯に向き合い、積極的な提言や活動を続ける行動力と着実に施策を実現してこられた実行力に対し、深い敬意を表する次第であります。以下、答弁に入ります。  初めに、富士山登山鉄道構想についてです。  過去の富士北麓開発計画では、経済成長を見越して観光客を数多く呼ぶことに主眼が置かれ、現在に至るまで薄利多売のスタイルが定着しております。  しかしながら、こうした構造のもとでは、好況期にはオーバーツーリズムになる一方で、コロナ禍のような不況に見舞われると、深刻な影響を被ることになります。  今後も人口減少による労働力不足に加え、新たな感染症や地政学的リスクなどによりまして、世界経済の大規模な変動が繰り返し起きることが強く危惧されます。  地域を持続可能な形で発展させていくためには、地域資源を大切に育み、磨き上げながら付加価値を生み出し、そしてその恩恵を地域全体でくまなく安定的に受けられる仕組みに転換することが重要であります。  本来、日本を象徴する富士山を有する富士北麓地域は、日本を代表する上質な観光地になり得るポテンシャルを有しております。しかし、その中心たる富士山の現状は、観光公害と言われるほど多くの人が押し寄せ、ライフラインが整備されていないがゆえに環境負荷がさらに増大するという悪循環に陥っております。  富士山の普遍的価値を保全し、確実に未来へ引き継いでいくことが私達の責務であり、それを実現する具体的かつ極めて有効な手段として提案をしているのが富士山登山鉄道構想であります。また、この登山鉄道構想は、単に富士山に登る交通手段を変えるだけではなく、量から質へ地域のあり方を大きく転換する先行的・象徴的な事例になり得るものと考えております。先月には、登山鉄道構想も含め、これからの富士山の保全と観光の方向性を考えていくためのシンポジウムを富士吉田市で開催いたしました。  今後も引き続き、この構想をたたき台としながら、富士山の普遍的価値をいかに保全していくか、地元の皆様などとともに議論を深めてまいります。  次に、県内へのスポーツ合宿や大会の誘致についてです。  県では、コロナによって激減した合宿を回復させるため、市町村と共同して合宿再開支援を行っており、トップシーズンの夏に感染の再拡大があったものの、これまでに四万人を超える合宿誘致を実現しました。  合宿が盛んな山中湖村、鳴沢村だけではなく、甲府市や笛吹市もこの支援制度を実施しており、今後、さらなる合宿の獲得に向け、快適な環境で運動できる本県の強みを発信してまいります。  次に、大会の誘致につきましては、県では、南アルプス林道を舞台としたサイクルイベントの実証事業や自然を活用したアクティビティの開発を行っており、本県の優位性を生かした事業の確立を進めております。  この一環として、県が観光案内のために要請し、十月に任命したサイクルツアーガイドには、早速、タイの旅行客からの利用の申込みがあり、富士五湖を周遊した参加者からは大変な好評をいただいたところであります。  一方で、本年九月には、富士河口湖町がトライアスロンを、また、十一月には、民間が主体となり、甲府盆地を一周するロングトレイルを初めて開催するなど、新たな取り組みも始まってきております。  特に、ロングトレイルにつきましては、今後、インバウンドでの参加も期待できることから、県では、関係市町村とともにエイドステーションの設置などに対してサポートを行ったところであります。  今後も、合宿や大会が本県経済にもたらす効果を全県で享受できるよう、市町村、民間などが企画する事業とも密接に連携しながら積極的に誘致を進め、スポーツを切り口とした地域活性化を図ってまいります。  次に、北富士演習場使用協定についてです。  平成三十年度から実施している第十次周辺整備事業五カ年計画では、県は、地元から強く要望があった河川、用水路の改修工事などの洪水、用水対策や堰堤工などの砂防対策を実施してまいりました。  また、地元市町村等においては、住民生活に直結する公園や道路の整備などさまざまな事業を実施しております。  この計画期間におきましては、国の助成措置を活用し、県、市、村など合わせて六十九事業が実施され、総事業費では約百七十九億円となり、第九次実績額の約百四十四億円を大幅に上回る見通しであります。  県では、北富士演習場使用協定締結後の五十年、一貫して、演習場使用と周辺地域の発展との調和を図るために各種事業を鋭意実施するとともに、諸課題の解決に取り組んでまいりました。  具体的には、富士湧水の里水族館の建設や国道百三十八号の渋滞緩和などのための山中湖忍野富士吉田線の整備などを実施し、地元住民生活の安定と向上に寄与してまいりました。  一方で、東富士五湖道路用地の演習場からの除外や、北富士県有地の地元への払下げ、演習場での日米共同訓練など、大変難しい課題もありました。  このような諸課題に対しましても、北富士演習場対策協議会を初め、地元の皆様の御理解と御協力のもと、解決に導くことができたものと考えております。  北富士演習場対策は、県政の最重要課題の一つであると認識しており、この半世紀、演習場の安定的使用と周辺地域の発展の両立を図ることができましたのも関係各位のお力添えをいただいた賜物であり、最大限の感謝と敬意を表するものであります。  次に、リニア山梨県駅から県内各地へのアクセスについてです。  開かれた国と書いて「開の国」、私がこの言葉に込めましたのは、国内外から多種多様な人材が山梨に集い、周知を結集することでイノベーションを創発し、世界に開かれた山梨をつくり出したいという思いであります。  そのためには、議員御指摘の自動運転や空飛ぶ車などの新しく夢のある技術とリニアとの掛け算は、開かれた山梨を形成する有力な要素の一つになると考えます。  例えば、自動運転につきましては、リニア駅から車の運転の心配をせずに本県の上質なワインや日本酒、地ビールなどを堪能していただくことも可能となるでしょう。その導入・普及の過程では、深刻化する運転手不足の解消や交通事故の減少にもつながると考えます。  また、空飛ぶ車により、来県者が富士山、八ヶ岳、ワイナリーなどの観光地へ移動する際、リニアの時間短縮効果を最大限生かせるようになります。  一方、県民にとりましても、お住まいの地域とリニア駅とが最短距離で結ばれ、急な東京や海外への出張にもスピーディーで、ストレスのない移動が可能となり、山梨に住むことの価値が、一層、高まっていくのではないでしょうか。  いずれにいたしましても、こうした新しく夢のある技術の実現に向けましては、技術開発のみならず、インフラや制度の整備、社会受容性向上などの総合的な取り組みが必要となってきます。  県としましては、今後の技術動向なども注視しながら、本県への導入可能性について研究を進めていきたいと考えています。  次に、水素・燃料電気関連産業の集積に向けた取り組みについてです。  県では、全国に類を見ない研究開発拠点の集積とその研究成果を生かした産業振興策により、県内企業の参入促進や事業化に向けた支援を行ってきました。その結果、水素・燃料電気関連産業への参入企業数は、昨年度末で七十五社に上り、総合計画の目標を一年前倒しで達成しております。本年度は、これら県内企業の高度な技術力をさらに活用すべく新たな事業を展開しています。  まず、短期の取引拡大に向けまして、全国の川下企業が求める技術シーズ、発注ニーズを調査し、県内企業とのマッチングを進めていくこととしております。  また、中長期の支援策としましては、今後の市場動向を踏まえ、本県企業が取り組むべき研究開発分野について調査をし、新製品、新技術の開発に活用してまいります。  さらに、本産業の進展には、水素エネルギーの利用拡大が不可欠であり、規制緩和や既存燃料との価格差解消に向けた社会機運の醸成を図ることとしています。  そして、この動きは水素社会を先導する本県が牽引すべきと考え、メディアコミュニケーションなどを取り入れた効果的な活動戦略を策定しているところです。  先般は、山梨大学と県内企業が進める燃料電池アシスト自転車の実証事業がNEDOに採択され、全国で初めて公道を走行することとなりました。  こうした取り組みは着実に実を結びつつあり、新たな支援策を加えることで富士北麓地域を含む、県内全域における本産業への参入を加速化させてまいります。  次に、メディカル・デバイス・コリドー構想のさらなる推進についてです。  議員御指摘のとおり、市場の動向を先読みし、新たな成長性を取り込むことは、メディカル・デバイス・コリドー構想のさらなる前進の原動力となります。このため、従来は医療機器の部材供給支援を主軸としてまいりましたが、来年度からのセカンドステージでは、新たな領域にも支援の幅を拡大していくこととしています。  まず、デジタルヘルスの需要拡大を見据え、治療用アプリケーションなどのプログラム医療機器の開発に向け、関連企業の参入を促してまいります。  また、予防医療、健康維持に対する需要の高まりを受け、衛生用品や健康食品などのヘルスケア産業全般に支援の裾野を拡大します。  さらに、広大な世界市場とその成長性を取り込むため、海外のサプライチェーンへの参入にも挑戦してまいる考えです。  このような取り組みの方向性のもと、御指摘のCBD製品のような有望分野につきましても、国における議論の動向をしっかりと注視して対応してまいりたいと思います。  成長性豊かな未来志向の産業構造の構築を目指し、メディカル・デバイス・コリドー2・0の実現に向けた取り組みを加速化させてまいります。  次に、郡内織物のマーケットイノベーションへの取り組みについてであります。  議員御指摘のように、社会や環境が著しく変化している中、織物業においても時代に即応した新たな製品開発や需要の開拓が喫緊の課題となっています。この課題解決のためには、これまでの発想にとらわれない郡内織物の新たな可能性を開く取り組みを、県としてしっかり後押ししていくことが重要です。  本年九月に発表いたしました新たな夏服は、その初めの一歩になるプロジェクトであり、今後、県内での定着はもとより、全国で広く愛用していただけるよう展開してまいります。  まずは、来年夏に本県で開催される全国知事会で各知事に公式ウエアとして着用していただき、着心地の感想などもいただきながら、全国に発信していきたいと考えています。  こうした取り組みとあわせまして、郡内織物の新たな用途に向けた製品づくりに向け、富士技術支援センターを核とする研究開発支援を行っています。  今後は、研究開発から製品化までを一貫して支援することとし、その拠点となるイノベーション支援棟を令和七年度までに整備いたします。  新たな機器を配備して、企画提案や試作を迅速化することで、産地が蓄積してきた技術に時代のニーズや新たな感性を融合させた製品づくりを支援してまいります。  この際、環境や社会などへの配慮の観点から生み出された先進的な製品が市場を獲得していくためには、潜在的な需要を見極めていくことが不可欠です。  このため、大手クラウドファンディングサイトを活用し、新たな消費者ニーズの把握・分析や販路開拓を支援するなど、伝統産業である織物業の新たな価値創造に努めてまいります。  次に、インバウンド観光客の獲得に向けたプロモーションの強化についてです。  インバウンド再開を迎え、確実にその動きを取り込むためには、ターゲットを絞った適切な手法による効果的なプロモーションが重要です。このため、県では、観光消費額の高い富裕層を取り込むこととして、本年八月に米国で現地旅行会社への観光説明会を行ったほか、来年二月には、全米旅行博の出店を予定しております。  このほか、高い観光消費が見込まれる国において、現地オンライン旅行会社を活用し、特設ウエブサイトの構築など、デジタルプロモーションを展開することとしております。  さらに、富裕層の多い中東諸国における観光需要について調査を進めており、その成果を今後のプロモーションに活用することとしています。  また、こうしたプロモーションとあわせ、本県の魅力を高めることも重要です。このため、食や特別なアクティビティといった観光コンテンツの充実や、宿泊施設などの受入れ環境の整備促進に、なお一層、取り組んでまいります。  最後に、高級宿泊施設の誘致についてです。  国内旅行市場の先細りや訪日客の減少が不安視される中、本県観光を限られた観光客からでも収益を得る、稼げる業態へと転換させることが重要です。このため、県では、観光の高付加価値化を促進し、上質なサービスを求める富裕層にも選ばれる質の高い観光地づくりに取り組んでいるところです。高級宿泊施設は、そうした富裕層の受け皿になるとともに、地域の高付加価値化も促し、本県が目指す上質な観光地の中核となるものと考えます。本県には、地域の自然や文化など富裕層が魅力を感じる資源があるものの、受け入れる宿泊施設が不足しており、一層の受け入れ環境の整備が必要であります。  こうしたことを踏まえまして、県では、富裕層向けの高級宿泊施設の立地に対する新たな支援制度の実施に向け、現在、詳細な内容を検討しているところです。本県の強みを生かして、富裕層の旅行需要を積極的に取り込み、観光消費の拡大、ひいては地域経済の活性化につなげてまいります。  以上をもちまして、私の答弁といたします。  その他につきまして、担当の部長等からお答えいたします。 20 ◯議長久保田松幸君)福祉保健部長、成島春仁君。       (福祉保健部長 成島春仁君登壇) 21 ◯福祉保健部長成島春仁君)早川議員の富士・東部地域における医療提供体制の確保についての御質問にお答えします。  県民がいつでも安心して適切な医療を受けられる体制を確保するためには、地域偏在の是正が重要であり、県では、これまで富士・東部地域における医療の充実に向けて取り組んできたところでございます。  まず、医師につきましては、地域枠や就学資金の貸与制度を活用し、富士・東部地域など、医師不足地域の病院へ医師を派遣できるよう取り組みを進めております。  また、看護師につきましては、今年度、看護職員確保対策検討会を立ち上げたところであり、富士吉田市立看護専門学校も含め、今後の看護師確保策について協議を行ってまいります。  また、救急医療体制につきましては、医師の働き方改革の本格実施が始まる令和六年度までに県が主導して、新たな体制の構築を目指しております。  現在、地域ごとに議論を進めており、富士・東部地域につきましても、地区医師会や医療機関などの皆様から御意見をいただく中で検討を行っているところでございます。  なお、議員御指摘の先進技術の導入につきましては、救急を初めとした医療において大変効果的であることから、積極的な活用について研究してまいります。  以上でございます。 22 ◯議長久保田松幸君)子育て支援局長、小田切三男君。       (子育て支援局長 小田切三男君登壇) 23 ◯子育て支援局長小田切三男君)早川議員の未来を担う子供たちの安全な保育環境の整備についての御質問にお答えします。  保育現場には、食事やお昼寝、外遊びなどさまざまな場面に事故のリスクが潜んでおり、職員には子供の発達に応じた安全確保など資質の向上が求められます。このため、県では、新規採用職員や中堅職員など階層別に、園における事故防止対策に関する研修を行い、リスク管理能力の向上を図っています。
     また、自然保育を推進している本県では、川遊びや木登りなど野外特有の活動について、アドバイザー派遣や全園への手引の配付により、職員の安全確保スキルの向上に努めております。  子供は、さまざまな活動を通してこそ成長していくため、活動を制限するばかりではなく、発達を最大限に促していくには、けがなどのリスクは避けられません。リスクを最小限にするため、過去に起きた事例に学び、起こり得る事故などを予測して、常に対策を取っておくことが重要となります。  県では、毎年、国が公表する死亡事故などの重大事例を各施設へ周知するとともに、園内において発生したヒヤリハット事例を職員間で共有し、事故防止対策に役立てるよう求めてまいりました。  ヒヤリハットの共有については、それぞれの園内事例にとどまるため、今後は、県内の事例を取りまとめ、全園に徹底を図るなど、子供たちの安全な保育環境の整備に万全を期してまいります。  以上でございます。 24 ◯議長久保田松幸君)観光文化部長、赤岡重人君。       (観光文化部長 赤岡重人君登壇) 25 ◯観光文化部長赤岡重人君)早川議員の世界遺産富士山が有する文化的な価値の普及啓発と活用についての御質問にお答えします。  富士山の文化的価値は、本県の国際的評価を高め、従来にはなかった多様な来県客の創出やビジネスの集積をもたらすことが期待できます。  その実現に向けては、まず、世界遺産としての価値を国内外に広く知らしめ、本県への関心を高めることが重要です。  このため、昨年度、情報発信の拠点である世界遺産センターを外国人利用者目線でリニューアルしたほか、VR映像などデジタル技術も活用しながら、質の向上や情報発信の強化に努めています。  さらに、伝統文化を好む海外富裕層の獲得に向け、観光プロモーションの展開や宿泊施設の高付加価値化支援に取り組むとともに、御師の家の宿泊と精進料理をセットにした古式ゆかしい富士講体験ツアーなど、コンテンツ造成を進めています。  一方、富士山の普遍的価値を保全していくためには、現状の五合目において認められる排気ガスによる環境負荷などの課題を改善する必要があります。このため、県では、その具体的な方策の一つとして、富士山登山鉄道構想を提案しており、さまざまな機会を通じ、議論を深めてまいりたいと考えております。  また、富士山の稀有な価値は人を引きつける、売りとなるものであり、その質を損なうことのないよう保全しながら、企業や宿泊施設の立地など質の高い投資の呼び込みにつなげてまいります。  さらに、今後、今ある価値の普及啓発に取り組むだけでなく、その価値の一層高度な活用を図り、地域の活性化につなげるべく必要な施策を検討してまいります。  以上でございます。 26 ◯議長久保田松幸君)農政部長、大久保雅直君。       (農政部長 大久保雅直君登壇) 27 ◯農政部長大久保雅直君)早川議員の優良農地の確保と各種土地利用計画との調整についての御質問にお答えします。  農地は、本県の主要産業である農業の重要な生産基盤であり、農業振興地域の整備に関する法律、いわゆる農振法に基づき、今後も適正利用の確保を図っていく必要があります。  このため、県では、農振法に基づく県農業振興地域整備基本方針を昨年十二月に改定し、令和十二年において確保しておくべき農用地などの目標面積を二万九百七十二ヘクタールに設定いたしました。  この方針に基づき、農業振興地域制度の適切な運用とあわせ、農業生産基盤の整備や荒廃農地の発生防止と解消に取り組むとともに、担い手への農地集積を進めています。  また、農振法に基づく農用地などは、市町村が農業振興地域整備計画の中で定めていることから、県では、優良農地の確保と活用が促進されるよう、市町村に対し、指導・助言しております。  一方、地域の開発計画に伴い、やむを得ず農地を転用する必要がある場合は、農振法の要件に基づき、周辺の農業利用に支障を来さない範囲で、市町村の農業振興地域整備計画を変更する必要があります。  県では、これでも物流施設や工場の建設計画に伴い、市町村が農業振興地域整備計画を変更する際は、都市計画などの土地利用計画との調整を積極的に図ってきております。  今後も周辺の農地利用に支障を来さない範囲で、地域の開発計画に応じて、各種土地利用計画との調整を適切に行いつつ、本県農業の生産基盤である優良農地の確保を図ってまいります。  以上でございます。 28 ◯議長久保田松幸君)当局の答弁が終わりました。  早川浩君に申し上げます。残り時間がありません。  これをもって早川浩君の代表質問を打ち切ります。  暫時休憩いたします。                                          午後二時九分休憩        ───────────────────────────────────────                                          午後二時三十分再開議 29 ◯議長久保田松幸君)休憩前に引き続き会議を開きます。  日程第一及び日程第二の議事を継続いたします。  発言の通告により、河西敏郎君に四十分の発言を許します。河西敏郎君。       (河西敏郎君登壇) 30 ◯河西敏郎君 疾風に勁草を知る。激しい風が吹いて、初めて強い草を知る。逆風や苦難のときほど真の仲間を知る。理解者がわかる。その自民党勁草の会を代表して質問いたします。  まず初めに、新型コロナウイルス感染症は第八波へと移行し、今後のさらなる拡大と経済活動への影響が懸念されるところであります。引き続きまして、対応に御尽力いただいている医療や福祉、教育に携わる関係者の方々、そして、厳しい経営環境を切り抜けようとされている事業者の皆様の不断の御努力に対し、心から敬意を申し上げるところであります。  さて、国では、第二次岸田改造内閣におきまして、新しい資本主義の実現に向け、成長と分配の好循環やコロナ後の新しい社会の開拓を目指し、刻々と移ろう国際情勢を踏まえながら、物価高騰への対策や人への投資、カーボンニュートラルの実現など、この国の未来を見据えた各種施策が、今まさに展開されております。  一方、県政に目を移しますと、就任四年目を迎えます長崎県政におきましては、本県の全ての可能性を開花させ、県民の豊かさの実感へつなぐこととし、強靱化、高付加価値化、基礎的条件の充実をキーワードに、先鋭的な施策が実施されております。  例えば、やまなしグリーン・ゾーン構想に基づく感染症への体制の強化やグリーン水素の製造・普及に向けた、やまなしP2Gシステムの研究・開発への取り組み、さらには、二十五人少人数学級の導入など、全国を牽引する数々の施策は県政の進化をもたらしており、私は長崎知事の政治手腕を評価しているところであります。  ところで、この秋、本県に大きな歓喜がもたらされました。一つは三年半ぶりに開催された信玄公祭りであり、もう一つはヴァンフォーレ甲府の天皇杯の獲得であります。  県民総参加の旗印のもと、過去最多の人出で賑わった信玄公祭りに、全国の頂点を極めた甲府の選手らが県民に凱旋報告を行い、大変な盛り上がりとなりました。  私の政治信条であります「忍耐と勇気」に重ね合わせますと、厳しい現状を耐え忍び、しかし、その歩みを決して止めず、勇気を持って果敢に取り組んでいけば、いずれは道筋が開け、大輪の花が咲き誇ることを示していただいたものと思います。  勁草の会の第一の理念は、山梨県民ファーストであり、私も知事と県民の皆様とともに、さまざまな課題に立ち向かい、豊かさと幸せを実感できる山梨の実現に向け、さらに邁進していくことをお誓いし、以下、質問に入ります。  まず、県産グリーン水素の普及に向けた東京都との連携についてであります。  ことし九月、東京において、各国の閣僚・政府代表、国際機関、民間企業などが参加し、水素エネルギーの開発に向けた戦略について議論する第五回水素閣僚会議が開催されました。  今回の会議では、燃料電池システムや水素ステーションの導入拡大に加え、二〇三〇年までに再生可能エネルギー由来の水素の利用量を九千万トンとする新たな目標が設定されました。  地球温暖化の原因となるCO2を燃焼時に排出しない水素は、カーボンニュートラル社会の実現に向け、重要なカギを握ると言われていますが、現在、流通している水素は、その製造段階でCO2の排出を伴う、いわゆるグレー水素や化学工場等の副産物として精製される水素が主流となっております。  そのため、真の脱炭素化に向けては、同じ水素であっても、よりクリーンな水素へシフトしていくことが重要であることから、太陽光発電などの再生可能エネルギーの電力と水から生み出されるグリーン水素は、究極のエネルギーと評価されています。  そのグリーン水素の分野において、本県は我が国においてトップランナーであり、世界最高の技術を取り入れ、安全・安心にグリーン水素を製造する、やまなしモデルP2Gシステムが、甲府市の米倉山に既に完成し、県内の工場等への水素供給やシステムそのものの導入拡大に向けた取り組みを、県企業局が民間企業と共同で進めていると承知しております。  私は、この分野における産業の進展は、本県に多大な経済効果をもたらすとともに、ひいては人口減少対策にも通ずる主要な取り組みであると考えております。  さらに、十月には東京都と合意書を締結し、都の施設での県産グリーン水素の利用やP2Gシステムの普及に向け、連携して取り組むことを発表したところであります。  世界的な大都市である東京における山梨県産グリーン水素の利活用は、国内外から大きな注目を集めるものと期待されますが、本合意に基づき、どのような事業に取り組むのか、また、その事業を通じて期待される効果についてお伺いいたします。  次に、リニア中央新幹線事業の進捗状況と駅周辺整備についてであります。  リニア中央新幹線の開業は、移動時間の圧倒的短縮効果により沿線地域間の交流を拡大させ、社会・経済などあらゆる面で飛躍的な発展をもたらすものと期待されており、現在、沿線各都県において工事が進められています。  本県においても、トンネル掘削工事のほか、明かり区間の工事も進められ、私の地元、中央市においても、釜無川橋梁や高架橋の新設工事など、県民の皆様の目に見える箇所での工事もふえてきており、その姿が徐々に明らかになってきております。  こうした目に見える箇所での工事の進展により、リニア開業を現実のものと期待する熱量も少しずつ上昇し、早期開業に向けた機運が盛り上がることを期待しております。  一方、静岡県の川勝知事は、神奈川県を視察した際、必要な変電所設備が整備されていない点や車両基地の整備に係る用地取得の状況について発言され、報道によって進捗に遅れが生じているかのような印象を与えております。  国家プロジェクトにも位置づけられるリニア中央新幹線の進捗は、その開業時期も含め、世間の関心はますます高くなってきています。  そこで、まず、本県におけるリニア中央新幹線事業の現在の進捗状況について、県の所見をお伺いいたします。  また、沿線においては、既に駅の整備に取りかかっている箇所もあり、品川・名古屋の両ターミナル駅や神奈川新駅、さらには地上駅として初めて岐阜新駅が六月から着工したとも仄聞します。  山梨新駅については、現在、JR東海が設計作業を進めていると伺っておりますが、リニア開業効果を全県に波及させるためには、駅の整備はもとより、駅周辺の整備が重要であります。  この点については、駅が中央自動車道と直結し、広域移動に対する利便性が高いことから、交通結節点としての機能を持たせることとし、現在整備を進めていると承知しております。  加えて、去る九月には、地元甲府市がカーボンニュートラルの実現と新産業の育成に資する象徴的なエリアとすることを目指し、積極的なまちづくりに取り組むことを表明したところであり、周辺の波及も含め、今後の進展に大いに期待するものであります。  そこで、リニア駅周辺整備について、今後どのように進めていくのか、県の御所見をお伺いいたします。  次に、配偶者等からの暴力の根絶に向けた意識啓発についてであります。  配偶者からの暴力の防止及びその保護に関する法律、いわゆるDV防止法が二〇〇一年に成立し、既に二十年が経過いたしました。  その前文には、DVは犯罪となる行為をも含む重大な人権侵害であること、また、被害者は多くの場合女性であり、経済的自立が困難な女性に対して配偶者が暴力を加えることは、個人の尊厳を害し、男女平等等の実現の妨げとなっていることが明記されています。  この法律は、法は家庭に入らずという考え方を打破し、それまで家庭内のこと、個人的なこととされてきた問題への関心を高め、DVは許されないという意識を醸成するきっかけになったと承知しております。  一方で、DVによって命が奪われる悲惨な事件は絶えることはなく、人権の擁護と男女平等の実現という目的の達成は道半ばと言えます。  県の配偶者暴力相談支援センターに寄せられた相談件数は、平成二十九年度以降、増加傾向にあります。  特に、令和二年度は新型コロナウイルス感染拡大による生活環境の変化などによる影響から千六百七件と過去最多となり、令和三年度も千二百四十一件と前年度より減少したものの、依然として高い件数で推移しております。  また、内閣府が昨年公表した調査によれば、配偶者から命の危険を感じるほどの暴力を受けたことがある女性の割合は四・八%に上り、およそ二十人に一人という高い割合に及んでおります。  DVは、特に家庭内において発生し、その加害行為は極めて自己中心的な目的で行われることが少なくありません。  一方、被害に遭われた方々は、恐怖や不安を与えられるばかりか、身体面や精神面の後遺症に悩まされる事例があると聞いています。  特に、女性に対する暴力の根底には人権の軽視がみられることから、女性の人権を尊重するための意識啓発が重要であります。  また、DVは高校生など若い世代でも起きております。  若者をDV被害者にも加害者にもさせないためには、交際相手からの暴力であるデートDVが重大な人権侵害であることや暴力のない対等な関係を築くことが大切であることに気づかせ、人権意識を高めるための効果的な啓発が非常に重要であると考えます。  県では、これまでもさまざまな暴力の根絶に向けた取り組みを実施していると承知しておりますけれども、コロナ禍でDV相談件数が高止まりの状況の中、DV防止のための意識啓発をどのように実施しているのか、お伺いいたします。  次に、子供の虐待防止対策についてであります。  子供たちや保護者のSOSの声をいち早く把握するため、国では、虐待かもと思ったときなどに、すぐに児童相談所に通告・相談することができる児童相談所虐待対応の専用ダイヤルを設けており、この電話番号一八九は、本年度の児童虐待防止推進月間における標語、「「もしかして?」ためらわないで!一八九(いちはやく)」にも使用され、啓発がされております。  そのような中、令和三年度に全国二百二十五カ所の児童相談所が児童虐待相談として対応した件数は、前年度と比較し一・三%増加し、二年連続で二十万件を超え、大変深刻な状況と危惧しております。  本県においても、児童相談所及び市町村に寄せられた相談の件数は、前年度に比べ七・二%増加し、二千二百五十九件と、全国と同様に過去最高を記録しております。  児童虐待の通告が増加した背景には、社会的な関心の高まりやコロナ禍で親の在宅時間が延び、ストレスや経済的な困窮、孤立なども重なり、家庭内でいさかいが起きるリスクが影響しているとの指摘もあります。  また、児童相談所などに寄せられた相談の経路を見ますと、全国及び本県とも、警察からの通報が最も多く、家族・親戚や児童本人からの相談の割合は一割程度と低いことから、児童虐待に悩む子供が潜在的にいるのではないかと思います。  来年四月には、こども家庭庁が創設され、子供政策の司令塔として常に子供の最善の利益を第一に考え、子供に関する取り組み・施策を我が国社会の真ん中に据え、虐待や貧困、独り親家庭など、困難を抱える子供や家庭の支援などに取り組むこととしており、児童虐待防止対策のさらなる強化に期待しているところであります。  子供への虐待は、いかなる理由があろうとも許されず、特に虐待を受けている子供の保護に当っては、体の傷や発育不良のほか、子供の心の領域にも深刻な影響が及び、行動面にもさまざまな問題が現れることから、十分な配慮が求められます。  そこで、子供の虐待に関して支援を必要とする子供からの声を聞くため、相談窓口の充実を図る必要があると考えますが、県の御所見をお伺いいたします。  また、虐待を受けた子供に寄り添うためには、専門的な支援体制の確保が必要と考えますが、あわせて県の御所見をお伺いいたします。  次に、少人数教育の推進であります。  本県においては、全国に先駆けて小学校一年生・二年生において二十五人学級を導入しており、子供たち一人一人に、より向き合える充実した教育環境の中で、きめ細やかな教育を実現されていることは大変すばらしいことだと感じております。  長崎知事の強いリーダーシップのもと、将来の山梨を担う子供たちが、その可能性を最大限発揮できるように進められてきた少人数教育は、本県が誇れる子供たちの自己肯定感の高さにつながっています。今後も、引き続き少人数教育を推進していくことを、私は大いに期待しているところであります。  現在、学校においては一人一台端末を効果的に活用しながら、これまでにはなかった取り組みを進めています。また、個別に配慮を必要とする児童や不登校等の児童が増加傾向にあり、これまで以上に、児童により添った対応が必要となるなど、教員には、子供たちと日々接しながら、さまざまな課題への対応が求められております。  また、少人数教育は教員の業務負担の軽減につながることから、教員の多忙化を改善する観点からも、その推進が必要であると私は考えます。  本年五月から開催している県の少人数教育推進検討委員会において、二十五人学級導入の効果として、教員と子供とのコミュニケーションの充実や教員のさまざまな負担の軽減などが挙げられます。有識者の委員からも、小学校三年生以降の少人数教育を推す意見が多く出されております。改めて、少人数教育推進の必要性を感じているところであります。  さらに、検討委員会では、学級数をふやさず、サポートする教員を追加配置するアクティブクラスについても議論がなされていると伺っております。  このアクティブクラスについては、児童へのきめ細やかな指導や教員の負担軽減につながる効果的な取り組みであると私は考えており、そのさらなる充実に期待しているところであります。
     検討委員会における議論はまだ続いていると伺っていますが、現時点における今後の小学校三年生以降の少人数教育の方向性について、御所見をお伺いいたします。  次に、若者の県内企業への就業促進についてであります。  県が本年三月に公表した令和三年度の常住人口調査によると、令和二年十月から令和三年九月の一年間に、県外からの転入者は県外への転出者を八百三十三人上回り、平成十三年以来、二十年ぶりの転入超過となりました。  しかし、年齢別で二十歳から二十四歳の区分を見ると転出者が超過しており、県外への転出者総数一万六千四百二十五人の約三割に当たる五千六十四人となっております。  その約半数の二千六百九十七人は就職を転出理由としており、大学や専門学校などの学生が卒業を機に県外に流出してしまっていると考えられます。  先般、若者の県内定着に向けた課題と方策をテーマに県立大学の学生と意見交換をする機会があり、県内就職に関する率直な思いを聞くことができました。  その中で、「小さいころの経験が大事だと思う。早いうちからどのような企業や仕事が県内にあるのか知ることができる機会がふえるとよい」という意見や「企業のことを知るために有効なインターンシップを充実してはどうか」といった提案がありました。  県内には、世界でトップシェアを獲得している企業やオンリーワンの技術を持った企業が数多くあります。  また、中部横断自動車道山梨・静岡間や須走道路・御殿場バイパスの開通などにより、交通ネットワークが向上して、企業の数はさらに充実しつつあります。  加えて、本県には豊かな自然があり、医療や教育の環境も向上しており、本県で働き暮らす魅力にあふれています。  若者は柔軟な発想や行動力を持っています。地域社会のニーズを捉え、新たな価値を生み出す源泉であると私は思います。企業が成長し、さらには県内経済が発展するためには、この若者の力が是非とも必要です。  若者の県内企業への就業を促進するために、本県にも魅力的な企業や素晴らしい生活環境があることをしっかりと知ってもらうことが必要と考えます。県の御所見をお伺いいたします。  次に、大規模地震に備えた地域防災力の強化についてであります。  来年、二〇二三年は、関東一円で死者・行方不明者が推定十万五千人に上り、明治以降、日本において最大規模の地震被害をもたらした関東大震災から百年という節目の年になります。  地震大国である我が国では、それ以降も大規模な地震がたびたび発生しており、国内観測史上最大のマグニチュード九・〇を記録し、津波とともに未曽有の被害をもたらした東日本大震災や震度七の揺れを二回観測し、熊本県を中心に三千人を超える人的被害や二十万棟を超える住宅被害が発生した二〇一六年の熊本地震などは記憶に新しいところであります。  こうした大規模地震の発生は、本県においても決して他人事ではなく、南海トラフ巨大地震や首都直下型地震のほか、糸魚川静岡構造線帯、曽根丘陵断層帯などの活断層に起因する地震の発生も懸念されております。  こうした中、昨年十二月には、県東部・富士五湖を震源とする地震が発生し、本県では約十年ぶりとなる震度五弱が大月で観測されました。  幸いにして大きな被害はありませんでしたが、地震に対する万全の備えが必要なことを改めて認識したところであります。  私は、地震による被害を最小限に抑えるためには、災害に備えたハード対策の推進とあわせて、県民一人一人が、みずからの命はみずからが守るとの意識のもと、地震を正しく理解し、的確な行動を取ることや自治会や地域の防災組織などと連携して自主的な防災活動を行うことなど、地域防災力を向上させていくことが極めて重要だと思っております。  そのためには、県民に対する防災に関する知識の普及や意識の向上を図り、そして地域防災の要となる人材の育成を進め、その上で、県や市町村、防災関係機関が連携して適切に対応することが必要と考えますが、県では大規模地震に備え、地域防災力の強化にどのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。  次に、中央自動車道の渋滞対策についてであります。  中央自動車道は、本県と首都圏とを結ぶ大動脈であり、物流や観光、産業など、さまざまな分野で大きな発展をもたらし、本県の経済活動を支える上で重要な役割を担っております。  物流は、我が国において豊かな国民生活や産業競争力、地方創生を支える重要な社会インフラであり、新型コロナウイルス感染症の流行下においても、国民生活や経済活動を支え、生活に必要不可欠なサービスとして、その機能を維持してきております。  しかし、物流分野においては、厳しい労働条件環境から担い手確保などの課題があり、令和六年四月から運転手の時間外労働の上限規制が適用されるなど、労働環境改善が行われることとなっております。  観光では、訪日外国人の入国制限や観光イベントの中止など、観光需要に大きな影響がある中においても、令和三年の本県観光入込客数は前年に比べ増加をしております。  また、新型コロナウイルス感染予防として自家用車での移動がふえるとともに、全国旅行支援により首都圏からますます多くの来訪者を迎える状況にあります。  しかし、東京から放射方向の高速道路のうち、唯一、中央自動車道だけが六車線ではないことから、休日の朝は下り線相模湖付近、午後から夜にかけては上り線小仏トンネル付近を先頭に激しい渋滞が発生しております。  中でも、本年のお盆期間には上野原インターチェンジ付近の下り線において、渋滞延長が全国ワーストワンとなるなど深刻な状況にあります。  これらの渋滞は、定時性を損ない、利便性向上を妨げるボトルネックとなっており、物流や観光など経済活動に大きなダメージを与えております。生産性向上による経済成長の実現や交通安全確保の観点などから、新たな幹線道路ネットワークの整備とあわせ、今あるネットワークの効果を最大限発揮させることも重要となっております。  そのために、現在、中日本高速道路株式会社により、上り線小仏トンネル付近の別線トンネルを含む工事や下り線相模湖付近の付加車線設置工事が進められていると承知しておりますが、本県への多大な影響を及ぼしているこれら渋滞の早期解消に向け、県としての対応も必要であると考えております。  そこで、中央自動車道上野原以東における渋滞対策工事の進捗状況と、県の取り組みについてお伺いいたします。  次に、新型コロナウイルス感染症に対応する医療従事者への支援についてであります。  新型コロナウイルス感染症が国内で確認されて、間もなく三年になろうとしています。この間の私たちの生活は、新しい生活様式の実践により、テレワーク・オンライン会議による働き方の変化やオンラインショッピングの普及などによる生活面のデジタル化が進み、感染防止のため制約のある生活の中でも幸福感を見いだしながら過ごしてきました。  また、この十月、国では新型コロナウイルスの水際対策が大幅に緩和されるなど、感染防止と社会経済活動の両立への対応を加速し、ウイズコロナに向けた新たな段階へと移行しつつあります。  その一方で、医療機関の方々は、この間も新型コロナウイルス感染症に対応するため、緊張感のある医療現場において、みずからの感染リスクを顧みず、高い使命感を持って患者の治療等にあたり続けており、終わりの見えない闘いに心身共に大きな負担になっていることと想像いたします。このため、私は、この社会経済活動の拡大による感染者の増加を懸念し、医師・看護師等の医療従事者にさらなる負担が生じないか大変危惧しております。  県では、これまで、感染抑制を図るための検査体制や感染者が症状に応じて適切な心療・療養を可能にする入院病床・宿泊施設の確保など、全国トップクラスの医療提供体制の整備をしてきました。  私は、知事が、どのような感染状況下においても「必要とする人に必要な医療を届ける」との考えのもと、県の新型コロナウイルス感染症に対する体制進化に向けた取り組みを高く評価しております。  しかしながら、新型コロナウイルス感染症に対応する医療提供体制を充実していくためには、まずは医師・看護師等の医療従事者を感染から守るとともに、モチベーションを高めていくことが必要であります。  そこで、県では医療従事者に対する支援について、どのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。  次に、食品ロスの削減に向けた取り組みについてであります。  環境省と農林水産省がまとめた我が国の食品ロス発生量は、令和二年度推計によると年間五百二十二万トンで、前年度から四十八万トン減少しております。これは食品ロス削減への関心が高まっていることや新型コロナウイルスの影響で飲食店を利用する機会が減ったことなどが原因と考えられています。  しかし、減少したとはいえ、年間の食品ロス発生量を日本人一人当たりに換算すると、その量は、毎日茶碗一杯分のご飯を捨てていることとなる上、コロナ収束に伴い、経済活動が本格的に再開されると、食品ロスが再びふえるのではないかということも懸念されています。食品ロスを放置すると、大量の食べ物が無駄になるだけでなく、可燃ごみとして処分される際に二酸化炭素が排出されるため、環境に悪影響を及ぼします。  また、多くの食料を輸入に頼っている日本において、大量の食品ロスを生み出している現状を見直さなければ、将来訪れると言われている世界的な人口増加等による食糧危機にも適切に対応できません。このため、食品ロスの削減は避けて通れない緊急の課題であります。  先日、テレビの報道で、見た目や大きさが不ぞろいな規格外の野菜を食材として活用できる加工施設を稼働させた食品宅配大手の会社やデパートのレストランで食べきれなかった料理を客に持ち帰ってもらう実証実験を開始した日本百貨店協会が紹介されていました。  このように、民間でも取り組みが進んでおり、食品ロス削減に対する意識が社会全体に広がってきていると実感したところであります。  また、県においても、本年七月に県議会も協力する中で、家庭にある未利用食品の有効活用を図り、食の支援を必要としている方々に届ける県庁フードドライブを実施したところですが、県民一人一人が食品ロスを意識し実践できるよう、引き続き食の大切さについて啓発していくことが重要と考えます。  そこで、食品ロス削減に向けて、県は、どのように取り組んでいるのか、お伺いいたします。  次に、農業分野における物価高騰対策についてであります。  令和元年以降、新型コロナウイルス感染症の世界的拡大やロシアのウクライナ侵攻、為替相場の急速な円安により、輸入物価や消費者物価の上昇が続いています。資源の多くを輸入に頼る日本では、その影響は大きく、本年九月の消費者物価指数は、昨年同月を三%上回っております。  農業も例外ではなく、肥料、飼料、燃油のほか、生産に必要なビニールなどの資材価格も高騰しております。  具体的には、肥料の主要成分である尿素は、令和二年の平均価格と本年八月を比較すると約二倍にまで上昇していると聞いております。  また、飼料価格は、令和二年度の平均額と本年七月を比較すると約一・五倍に上昇しております。さらに、施設園芸では、燃油やビニール等の資材の価格は、令和二年に比べ、それぞれ約一・四倍に上昇しており、今後もさらに高騰することが懸念されています。  このような肥料、飼料、燃油、資材の価格高騰は、畜産農家や養殖業者、施設園芸農家の経営を著しく圧迫しており、その経営は大変厳しいものとなっております。  農畜水産業は生産コストの上昇分を価格に転嫁しにくいため、このような危機的状況を農家の自助努力だけで乗り越えることは極めて困難であります。特に、トマトやキュウリといった施設野菜は、全国的な生産量の増加や業務需要の減少などにより価格が低迷しているため、施設栽培を継続することすら困難となるとの声も聞かれ初めています。  先月には、施設園芸農家の厳しい状況を受け、県農業協同組合中央会長を初め、産地JAの組合長らが、知事に対し緊急支援の要請を行ったと承知しております。  私は、こうした事態が続くと、本県の重要な産業である畜産業や水産業、施設園芸の存続が危ぶまれるのではないかと極めて大きな危機感を抱いております。  国においては、燃油や肥料の価格高騰対策を講じておりますけれども、将来に向け持続可能な農業の実現のため、県においても積極的な支援が必要と考えます。  そこで、農業分野における物価高騰対策に、県では、どのように対応していくのか、御所見をお伺いいたします。  次に、いじめ対策についてであります。  児童生徒の自死や不登校のきっかけの一つとして、いじめが要因であるといった話をニュースなどで度々耳にします。いじめは児童生徒の教育を受ける権利を侵害するのみならず、心身の健全な成長に影響を与え、さらには、生命または身体に重大な危険を生じさせるおそれのあるものであることから、私は、このいじめ問題に日ごろから関心を持って取り組み、県議会において継続して質問を行ってきました。  本年十月に文部科学省及び山梨県が公表した、令和三年度の状況を対象とした児童生徒の問題行動等の調査によると、いじめの認知件数は、全国では最多、山梨県では前年度に比べ約一三%多い七千百五十件であり、これまで最多であった令和元年度に次いで二番目に多い件数となりました。  国では、主な増加要因として、新型コロナウイルス感染症の影響により、感染を予防しながらの生活が続く中、部活動や学校行事などのさまざまな活動が徐々に再開されたことによる接触機会の増加、また、いじめの定義や積極的な認知に対する理解が広がったことなどを上げています。  私は、新型コロナウイルス感染対策のための休校などに伴い減少となった令和二年度を除き、増加しているいじめ認知件数について、国と同様、いじめへの理解の広まりであると肯定的に捉えているところではありますが、県では、今回のいじめ認知件数の結果について、どのように捉えているのか、お伺いいたします。  また、今回の結果でいじめ認知件数が増加しましたが、認知したいじめに対して、早期にかつ適切に対応することが重要であることは言うまでもありません。いじめを深刻化させることは、いじめの解決を複雑にさせるばかりか、子供の心身に悪影響をもたらすことから、学校を中心に、早い段階から家庭や関係機関が連携して子供を守るために取り組むことが必要であります。  国においては、学校と地域が力をあわせて学校の運営に取り組むコミュニティ・スクールの導入を進めているところですが、いじめについても各学校がコミュニティ・スクールの利点を生かして取り組むことが有効であると考えます。  学校は、子供たちの学びの場であるとともに、仲間と共に楽しく過ごしながら成長する場であってほしいと思います。  そこで、県では、いじめの早期発見と早期解消に向けて、どのような対策に取り組んでいるのか、お伺いいたします。  次に、子供がインターネットを適切に利用するための取り組みについてであります。  情報社会の進展により、私たちの身の回りには多くの情報があふれ、スマートフォンやタブレット等の端末があれば手軽に情報を得られるようになりました。学校においては、GIGAスクール構想のもと、一人一台端末が整備されたことにより、授業にインターネットが活用されています。  現在、インターネットは私たちが日常生活を送る上で欠くことのできないツールとなっており、子供たちもその例外ではありません。インターネットは非常に便利なツールである一方、その利用の仕方によっては、子供たちに対して悪影響を与えてしまう面があることも忘れてはなりません。  例えば、インターネット上には成人向けコンテンツなど子供が閲覧するには望ましくない情報が氾濫し、薬物使用や犯罪に誘導される危険性のある有害なサイトも数多く存在します。  また、SNSを介して子供がトラブルや犯罪に巻き込まれることが大きな社会問題になっています。  さらには、インターネットによる動画の視聴やゲームなどに熱中するあまり生活習慣に乱れが生じているといったことも耳にいたします。  県教育委員会が本年度実施した調査によると、インターネットの依存傾向が疑われる児童・生徒の割合は、小学校高学年が一二・五%、中学生が一八・七%、高校生に至っては二五・九%と四人に一人に上る等、依存傾向が高まることを懸念する報道がなされたところであります。  加えて、インターネット利用の低年齢化も進んでいると言われており、小学校低学年の児童や、さらには未就学の子供への対応も求められております。  そのため、子供たちが学校や家庭・企業の連携のもと、インターネットの適切な利用方法を学んでいくことが重要と考えますが、県としてどのように取り組んでいるのか、お伺いいたします。  最後に、電話詐欺の被害防止対策についてであります。  山梨県内では、平成二十四年以降、電話詐欺の被害総額が毎年一億円を超える深刻な状況が続いております。また、本年も昨年と同水準で被害が発生しており、一回の被害金額が数百万円に上るものもあると承知しております。  被害者の多くは高齢者であり、犯人は子や孫を思う高齢者の優しい気持ちにつけ込み、老後のため、あるいは子や孫のためにと苦労して貯めた貴重な財産を一瞬でだまし取るのです。電話詐欺は財産的に大きな被害を与えるばかりでなく、善良な市民の心に深い傷を負わせる極めて悪質な犯罪であります。  高齢化の割合が全国に比べて高い本県では、犯行グループの格好のターゲットになり、今後も被害が続発することが危惧されます。したがいまして、何よりも大切なのは、被害を未然に防ぐことにあると考えます。  昨年の九月議会において、当会派の望月議員が電話詐欺の被害防止対策について質問いたしました。その際、県警察からは、自動通話録音装置の貸出事業を実施していることや、防災無線やラジオ放送、メールなどさまざまな媒体を通じて注意喚起をしていること、また、金融機関やコンビニエンスストアの協力を得て、高齢者に対する声がけによる被害の防止を図っていることなどの説明を受けました。  また、被害のほとんどが自宅にかかってきた一本の電話から始まっていることから、電話でお金の話が出たら詐欺を疑うことや家族に相談することなど、高齢者に防犯力を高めてもらう対策を重点に活動しているとも伺っております。このようなさまざまな被害防止対策を地道に行うことが、被害の防止につながっていくのではないでしょうか。  今後とも県警察を初め、自治体や金融機関にとどまらず、県民全体で電話詐欺の被害を防止するための対策を続けて行かなければならないと考えます。  そこで、県内における電話詐欺被害の現状と、県警察で取り組んでいる被害の防止対策について、改めてお伺いいたします。  以上で質問を終わります。御清聴ありがとうございました。 31 ◯議長久保田松幸君)河西敏郎君の質疑・質問が終わりました。  これより、当局の答弁を求めます。知事、長崎幸太郎君。       (知事 長崎幸太郎君登壇) 32 ◯知事長崎幸太郎君)河西議員の御質問にお答え申し上げます。  ただいまは自民党勁草の会を代表され、県政各般にわたり御質問をいただきました。  また、国において展開されている新しい資本主義の実現に向けた政策の重要性に触れられながら、私のこれまでの県政運営に対する高い御評価を賜りました。  河西議員におかれましては、山梨県民ファーストで行動し、まさに忍耐と勇気をもって地域のために積極的な政治活動に取り組まれており、その姿勢に深く敬意を表する次第であります。  私も、河西議員を初め自民党勁草の会の皆様方とともに、全国を牽引するような政策を推し進め、県民一人一人が豊かさを実感できる山梨の実現に向けて粉骨砕身取り組んでまいりますので、変わらぬ御支援、御協力を賜りますようお願いを申し上げます。  以下、答弁に入ります。  初めに、グリーン水素の普及に向けた東京都との連携についてです。  県では、再生可能エネルギーの最大限の活用と工場などの熱需要における脱炭素化を推進するため、山梨モデルP2Gシステムの導入拡大と、県産グリーン水素の普及に取り組んでいるところです。  今回、東京都との合意に基づき、県産グリーン水素を都が設置した燃料電池に供給するなど利用促進を図るとともに、イベントにおける普及啓発を行い、グリーン水素の認知度を高めてまいります。  また、都内の工場へのP2Gシステム導入に向け、さらなる小型化に共同で取り組み、グリーン水素の製造から利用までの技術開発を進めてまいります。  P2Gシステムは、太陽光発電の余剰電力を活用することで、変動する電力の需給バランスを調整できることから、家庭の太陽光発電を含めた再生可能エネルギーの一層の普及拡大が可能となります。  このため、都が推進する住宅への太陽光パネル設置などの脱炭素施策を後押しし、ひいては、ゼロエミッション東京の実現に貢献できると考えています。
     今後、東京都との共同事業の成果を着実に積み上げることにより、本県のP2Gシステムが二〇五〇年カーボンニュートラル実現の鍵となることを広く認識していただけるものと確信しています。  これによりまして、国内のみならず海外に向けても、やまなしモデルP2Gシステムの普及が加速化し、本県経済の活性化や雇用創出、さらには人口の増加にもつながることを期待しています。  次に、リニア中央新幹線事業の進捗状況と駅周辺整備についてです。  リニア中央新幹線事業は、我が国の新たな国土軸を形成する国家的プロジェクトであることから、本県は実験線建設時からこのプロジェクトに一貫して協力してまいりました。  また、県内本線工事の建設に当たり沿線住民の要望を受ける中で、JR東海に要請し、防音・防災フードの設置を実現させるなど、住民の生活環境の変化に対する不安に寄り添った対応を進めてまいりました。  こうした中、お尋ねの県内事業の進捗状況ですが、リニア本線の用地取得は、全体の六割を超える地権者の皆様から契約をいただいています。  また、建設工事については、県内全体の八割程度が契約済みとなっており、JR東海では、おおむね順調に進捗しているとしております。  次に、駅周辺整備につきましては、リニア開業効果を全県に波及させるための広域的な交通結節機能は県が担い、将来のまちづくりは地元甲府市が主体となるという役割分担のもとで進めています。  このうち、県が取り組む広域的な交通結節機能につきましては、駅前に必要な施設や規模並びにその配置に関し、有識者の意見を伺いながら具体化してまいります。  また、甲府市が取り組むまちづくりにつきましては、現在、市が具体的な整備方針の策定に向け調査・検討を行っておりますが、県としても、今後とも緊密に連携しながら積極的に支援してまいりたいと考えております。  次に、少人数教育の推進についてです。  未来の山梨を担う子供たちの可能性を引き出す教育環境を整えることは、私たち大人の責務であります。  四年前に、私は少人数教育の推進を最重要公約の一つに掲げ、知事就任以来、一人一人の児童に丁寧に向き合い、その能力や個性に寄り添ったきめ細やかな教育の実現に向けて、全力で取り組んでまいりました。  昨年度に、全国初となる二十五人学級を導入し、学校関係者からは、「子供たちにより向き合えるようになった」「教員の負担軽減につながっている」など、好意的な声が届いています。  現在、少人数教育推進検討委員会では、小学校三年生以降の少人数教育について検討いただいております。  検討委員会における報告書の取りまとめに向け、教育関係者の皆様には、専門的な見地から、今後の山梨の教育のあるべき姿について、しっかりと御議論いただくことを期待しています。  私としては、来年度、小学校三年生にも、国の基準を上回る少人数学級を導入したい。また、アクティブクラスについても、学校からの声に応えるべく充実を図ってまいりたいと考えておりますが、今月下旬に検討委員会を取りまとめる最終報告書の内容や財源確保の状況などを踏まえ、引き続き検討を進めてまいります。  これまで進めてきた少人数教育の歩みをとめることがあってはならず、山梨の将来を担う子供たちのために、さらに推し進め、山梨発展の礎を築いてまいります。  次に、若者の県内企業への就業促進についてです。  県内には、世界に誇る優れた技術や製品を扱う企業、キャリアアップを積極的に支援している企業、子育て支援や女性活躍に取り組んでいる企業など、若者を引きつける魅力を持った企業が数多くあります。  また、議員御指摘のとおり、四季を通じて楽しめる豊かな自然が身近にあふれ、ワイン、日本酒や果物など、彩りのあるライフスタイルを支えるアイテムにも事欠きません。  加えまして、チャレンジする心を応援する山梨の風土は、アイデアを育むクリエイティビティの苗床であり、自分らしさを創出し、また、取り戻していく癒しの源泉でもあると考えています。  県は、これまで、こうした本県の強みを生かしつつ、就職支援サイトや企業研究フェアを通じて、企業の魅力や生活環境のすばらしさを情報発信してきました。  また、各学校教育では、小学校から発達段階に応じたキャリア教育を実施しており、例えば、県内企業の職場見学や仕事体験などを通して、勤労観や職業観の育成を図ってまいりました。  さらには、高校生や大学生を対象として、県内企業の職場の雰囲気に触れることができるインターンシップの充実に取り組んでいるところです。  今後、さらに若者の県内就労を誘引していくためには、働き手のスキルアップが企業の生産性向上と賃上げにつながる好循環を生み出していくことが必要です。  現在、県では、労使の関係者や教育機関などで構成する豊かさ共創会議を立ち上げ、働き手のリスキリング環境の構築に取り組んでおり、今後は、こうした取り組みを通じて、本県での就職を希望する若者の支援を図ってまいります。  また、結婚や子育てなど、人生の節目を迎える若者や、一念発起して山梨での就職や起業を考える若者を新たなターゲットと捉え、支援を進めてまいります。  都会への憧れもあり、県外に就職したものの、新たな挑戦に踏み出す方々に対し、価値の創造を支援する本県の魅力は大きな訴求力を持つものと考えています。  このため、今後は、やまなし暮らし支援センターにおける県内就労に向けた伴走支援において、このような第二新卒者や新規に起業を志す若者をも対象としつつ、丁寧で幅広いサポートを行ってまいります。  次に、大規模地震に備えた地域防災力の強化についてです。  大規模地震による被害を最小限に抑えるためには、議員御指摘のとおり、耐震化などのハード対策に加え、自助・共助・公助の取り組みを進める必要があります。  このため、県では、県民の皆様が地震から身を守るための正しい知識や適切な行動を習得できるよう普及啓発を図っています。  具体的には、災害への備えをまとめた動画やリーフレットを県ホームページに掲載するほか、起震車による地震体験や県内各地での出張講座を開催しています。  また、小中学校においては、地震の際に児童生徒がみずから考え行動できるよう、危機管理マニュアルを踏まえた実践的な防災教育に取り組んでいます。  さらに、将来の担い手となる若い世代の防災への関心を高めるため、子供向け防災ガイドブックを作成し、新たに児童生徒を対象とした防災講座を行うこととしております。  また、共助の中心的役割を担う防災リーダーを養成し、その後もフォローアップ研修や交流会を実施することにより、各地域での活動の活性化を図っていきます。  さらに、市町村とともに、地域住民や自主防災組織、防災関係機関などの参加を得て、実践的な防災訓練を毎年度実施し、迅速な対応力や相互連携を高めています。  加えて、本県への影響が懸念される地震による被害想定調査を、最新の技術や知見をもとに二十五年ぶりに見直しており、今年度末に取りまとめる予定です。  この調査結果により、被害の全体像を把握し、県や市町村の地域防災計画に反映させ、総合的な対策を推進することにより、地域の防災力の強化を進めてまいります。  次に、中央自動車道の渋滞対策についてです。  中央自動車道は、コロナ禍においても、上り線で過去最長の約七十二キロメートルの渋滞を記録するなど、依然として深刻な渋滞が発生している状況です。  この渋滞の解消は、滞在時間の増加、観光エリアの拡大などを可能にし、来訪者にとって、本来持っている本県の魅力をより実感していただくことにもつながるものと考えております。  こうしたことから、本県では、沿線都県市に呼びかけ、平成二十五年に中央自動車道渋滞対策促進協議会を設置し、早急な対策に向け、促進大会の開催や国などへの要望活動を重ねてまいりました。  この結果、上り線において、平成二十七年に調布付近の車線の増設が、また令和三年には三鷹バス停付近の線形改良が完了し、部分的に渋滞緩和が図られてきたところです。  現在、特に渋滞の著しい上り線の小仏トンネル付近において、圏央道に接続するまでの約五キロメートルにわたり、新たなトンネルと橋梁を含む付加車線設置工事が行われています。  全長約二・三キロメートルの新たなトンネルは、本年五月に掘削工事が始まり、その西側では橋梁の基礎工事が進められています。また、下り線、相模湖付近では約二キロメートルにわたり供用中の高架橋を拡幅し、車線を追加するための橋脚工事が行われています。  県といたしましては、これら事業中箇所の早期完成とともに、さらなる渋滞対策の検討に向け、引き続き沿線都県市と連携し、国や高速道路会社へ働きかけてまいります。  次に、新型コロナウイルス感染症に対応する医療従事者への支援についてです。  新型コロナウイルス感染症への対応を初め、県民に適切な医療を提供していくためには、議員御指摘のとおり、院内での感染を防ぎながら、医療従事者の高い士気を維持することが極めて重要であります。  そのため、令和二年度に医療従事者への慰労金を支給したほか、医療機関に対して院内感染防止対策への支援を継続して行ってきたところです。  しかしながら、今後、季節性インフルエンザとの同時流行も危惧されている中、医療従事者からは、「既に心身ともに限界」との悲痛な声が寄せられています。  そこで、医療従事者の士気を高めるため、一時金の支給などに充てられる応援金を準備し、現在、速やかな執行に努めているところであります。  また、医療機関の逼迫を回避し、医療機関の負担を分散させるため、夜間・休日の発熱外来の対応強化と、年末年始における診療・検査医療機関の確保に向けた助成を実施することとしました。  加えて、院内における感染防止対策に必要な設備整備などを引き続き支援することとし、所要の経費を十二月補正予算に計上したところであります。  最後に、農業分野における物価高騰対策についてです。  今般の物価高騰に対しましては、国の価格高騰分の補填に加え、中長期的に高騰分を吸収できる持続可能な経営体質に変えていくとともに、高騰分を価格転嫁できるよう取り組んでいくことが重要です。  このため、まず、国に対しましては、現在の原油価格・物価高騰対策の継続を強く要望するとともに、あわせて本県独自の経営体質強化に向けた取り組みを御説明し、高い評価をいただいたところです。  県では、現在、業種を限定せず、省エネや再生可能エネルギーの設備の導入に助成をしておりますが、特に、物価高騰の影響により経営が苦しい畜産農家や施設園芸農家、水産養殖業者に対しては、強力な支援が必要であると考えています。  まず、畜産の配合飼料価格高騰に対し、スマート機器などの導入への助成を既に設けておりますが、さらなる要望に確実に応えるため、予算を拡充いたします。  一方、施設園芸農家や水産養殖業者も、経費の約四割を占める燃油、肥料、ビニールなどの資材や肥料などの価格高騰により、厳しい経営状況が続いています。  このため、生産コストの削減や生産性向上に取り組む生産者に対し、必要な機器や資材の導入を緊急的に支援する経費を十二月補正予算に計上いたしました。  このうち、生産量の減少や収穫時期の遅れが生じる施設園芸農家に対しましては、収入差に相当する奨励金を支給し、取り組みの早期実施を強力に後押しします。  加えて、化学肥料の削減技術をマニュアル化しコスト削減を図るとともに、データ農業の技術を早期に確立し、生産性の飛躍的な向上を図ることにより、持続可能な農業経営を実現してまいります。  また、高度な栽培管理技術のデータを収集・解明し、たくみの技を見える化するスマート農業の普及により、さらなる高品質化を進めます。  あわせて、4パーミル・イニシアチブなど、本県独自の取り組みにより高付加価値化を図り、ブランド力を強化するなど消費者の理解をいただきながら、高騰分の価格転嫁にも鋭意取り組んでまいります。  以上をもちまして、私の答弁といたします。その他につきましては、担当の部長等からお答え申し上げます。 33 ◯議長久保田松幸君)県民生活部長、小林厚君。       (県民生活部長 小林 厚君登壇) 34 ◯県民生活部長(小林 厚君)河西議員の食品ロスの削減に向けた取り組みについての御質問にお答えいたします。  県では、令和二年度に山梨県食品ロス削減推進計画を策定し、消費者や事業者への啓発とともに、削減に向けた支援を行っているところです。  具体的には、消費者みずからが食品ロス削減を実践できるよう、食品を無駄にしない調理法を学ぶ料理教室を昨年度から開催し、これまでに延べ百名を超える参加がありました。  また、十月の食品ロス削減月間では、家庭でできる対策についての講演会をオンラインで同時配信し、取り組み事例を広く県民の皆様に発信したところであります。  さらに、市町村や食品関連事業者の協力のもと、県内全域でポスターやチラシによる広報活動を行い、削減に向けた意識の醸成を図ったところであります。  現在、本県においては、国の認定を受けた食品ロス削減推進サポーター十七名が、食品の保存や活用方法などの専門的知識を生かして、地域の特性や実情に合った食品ロスの削減に取り組んでおります。  県では、地域のリーダーとして重要な役割を担うサポーターが、県下全域で活躍することを期待し、広く育成講座への参加を呼びかけたところであります。  この結果、今年度中には百名を超えるサポーターが誕生する見込みであり、今後はサポーターと連携する中で県民運動へつなげ、さらなる食品ロス削減に取り組んでまいります。  以上でございます。 35 ◯議長久保田松幸君)男女共同参画・共生社会推進統括官染谷光一君。       (男女共同参画・共生社会推進統括官 染谷光一君登壇) 36 ◯男女共同参画共生社会推進統括官染谷光一君)河西議員の配偶者等からの暴力の根絶に向けた意識啓発についての御質問にお答え申し上げます。  議員御指摘のとおり、配偶者等からの暴力の根絶には人権意識を高めるための啓発が必要であり、あわせて被害に遭われた方を、いかにして相談支援につなげていくかが重要でございます。  これまで、県では、相談体制を整えるとともに、さまざまな広報媒体を通した意識啓発を実施してきており、本年度も啓発パンフレットの配布や甲府市と連携してJR甲府駅前での街頭啓発を行ったところでございます。  しかしながら、DV被害が若年層にも広がっていることや被害女性のうち約五割がどこにも相談していない状況があることから、これらの方々の支援につながる、さらなる意識啓発が重要となっております。  このため、先月、若年層への効果的な普及啓発を図る新たな啓発手法として、高校生を主人公とするDV相談促進動画を作成し、山梨県公式ユーチューブチャンネルにて配信したところでございます。  この動画は、被害者からの相談を促すとともに、自身が当事者だと気づいていない方や、周囲の方々に気づきや被害者への共感を促す内容となっており、DV防止への機運醸成を図ることを目的としております。  今後、教育委員会を通じた高校生への周知に加え、法曹関係者や被害者支援団体、相談機関などでの動画活用を促し、多様な主体と連携しながら配偶者等からの暴力の根絶に向けた取り組みを推進してまいります。  以上でございます。 37 ◯議長久保田松幸君)子育て支援局長、小田切三男君。       (子育て支援局長 小田切三男君登壇) 38 ◯子育て支援局長小田切三男君)河西議員の子供の虐待防止対策についての御質問にお答えします。  まず、子供の虐待に関する相談窓口の充実についてであります。  県では、これまで、虐待の早期発見のため一八九の普及啓発や相談窓口の周知を図るとともに、児童相談所において、相談の受付や家庭への支援を行う児童福祉司の増員などに取り組んでまいりました。  本年度は、虐待に苦しむ子供が声を上げやすくするため、子供への啓発を強化することとし、虐待となる行為や、みずからの持つ権利をわかりやすく伝える動画の制作に取り組んでいるところです。さらに、来年二月には、子供に、より身近なツールであるLINEを活用した相談窓口の開設を予定しております。  次に、専門的な支援体制の確保についてですが、虐待は、強い恐怖や不安、無力感など感情的な痛みを与えるものであり、心のケアは不可欠となります。  このため、児童相談所の児童心理司が子供の心理状況を把握・判断するとともに、必要に応じて心の発達総合支援センターの医師と連携し、医療的支援を行う体制を整備しております。  さらに、日常生活での専門支援が必要な子供については、児童心理治療施設において、安心できる生活環境を整えた上で、不安や悩みに寄り添いながら、心理治療や発達段階に応じた支援を行うこととしております。  加えて、地域で相談や援助を行う市町村や児童養護施設を対象とした心のケアに関する研修を実施し、虐待を受けた子供に寄り添う専門的な支援体制の確保に鋭意努めてまいります。  以上でございます。 39 ◯議長久保田松幸君)教育長、手島俊樹君。
          (教育長 手島俊樹君登壇) 40 ◯教育長手島俊樹君)河西議員の御質問にお答えします。  まず、いじめ対策についてであります。  いじめの認知件数が増加した要因につきましては、教員が子供たちの行動を丁寧に観察して、冷やかしなどのいじめの予兆となる段階のものも含めて積極的に認知した結果であると肯定的に捉えているところでございます。  いじめの早期発見と早期解消に向けましては、教員の指導力向上、学校内での取り組み、関係機関との連携が重要であり、県では研修会などを開催して、教員に対する指導助言を行っています。  具体的には、実際の事例を用いて、とるべき対応をグループで協議するほか、いじめを認知した際の学校内における組織的な対応の確認など、実践的な研修を実施しています。  また、管理職の対応が極めて重要となるため、いじめによる被害側及び加害側の双方への対応や校種をまたいだ情報共有の重要性などについて考える機会を設け、管理職研修を強化したところでございます。  さらに、スクールカウンセラーを全小中学校に配置しているところですが、近年、いじめ認知件数が増加しているため、学校からの要請に応じて他校から応援派遣するなどの柔軟な対応をとっています。  いじめについては、ときに複雑化して解決が難しくなることがあり、そのようなケースへの対応につきましては、相談支援センターの心理・福祉の専門職が関係機関と連携し、多面的に支援をしております。  なお、コミュニティ・スクールにつきましては、いじめなどの面でも、保護者や地域住民などの理解や協力を得ることが期待でき、県としては、コミュニティ・スクールの導入を推進しているところです。  このような取り組みを通して、一人一人の状況に応じたきめ細かな支援を行い、全ての児童・生徒が安心して学校生活を送ることができるよう、今後もいじめ対策に取り組んでまいります。  次に、子供がインターネットを適切に利用するための取り組みについてであります。  県では、変化の激しい情報社会を生きる子供たちが、情報モラルをわかりやすく学ぶために、先般、LINEみらい財団と連携し、小学生向けの教材、GIGAワークブックやまなしを作成しました。  この教材は、インターネットの特性や情報リスク管理などにおける最新の知見を取り入れるとともに、保護者も学べるよう工夫がなされております。  年内には中学校・高校版も作成し、授業や家庭での学習を通じて、児童・生徒から保護者まで幅広い活用を図ってまいります。また、保護者と子供が家庭でのインターネット利用について一緒に考えるきっかけとなるよう、県警察や通信会社などと連携し、未就学児や小学生の保護者向けのセミナーを、本年度は約八十カ所で開催する予定です。  これらに加えまして、インターネット利用を見直したい中学生を対象に、これまでの利用状況を振り返り、スマホを手放しリアルな自然体験や集団生活から充足感を得ることを目的としたキャンプを実施いたしました。キャンプの参加者からは、「ネット以外の楽しみを見つけ外で遊ぶ時間がふえた」「寝る前にスマホを使わず早起きできるようになった」「友達と話す時間がふえた」など生活の変化を実感する声が寄せられたところです。  子供たちが情報社会において、みずからの個性や可能性をさらに伸ばして活躍できるよう、引き続き、学校・家庭・企業と連携しながら、適切なインターネット利用に向けた取り組みを推進してまいります。  以上でございます。 41 ◯議長久保田松幸君)警察本部長、伊藤隆行君。       (警察本部長 伊藤隆行君登壇) 42 ◯警察本部長伊藤隆行君)河西議員の電話詐欺の被害防止対策についての御質問にお答えいたします。  県内における電話詐欺の状況は、本年十一月末現在、被害件数が前年同期比十九件増の七十二件、被害額が僅かに六百四万円減の一億三千八百六十万円と、既に一億円を超える厳しい状況となっております。  特に、十月以降の二カ月に被害件数の三六%が集中し、保険料の還付金があると言って、携帯電話で通話しながらATMを操作させ、預貯金を振り込ませるなどの手口が多発しております。  議員御指摘のとおり、被害は高齢者宅への一本の電話から始まっております。そのため、高齢者が犯人からの電話に出ないための対策として、県警察では、自動通話録音機約二百台を購入して、高齢者への貸し出しを行っています。  また、だまされないための対策として、ふじ君安心メールや市町村の防災行政無線、ラジオ番組、広報用DVDの配布などを通じて、手口情報のタイムリーな発信にも努めております。  さらに、だまされてもお金を犯人に渡さないための対策として、警察官がATMを警戒警らすることは当然として、金融機関やコンビニ、タクシー事業者などに、高齢者などへの声かけを依頼しております。  今後も、これらの犯人からの電話に出ない取り組み、電話に出てもだまされない取り組み、だまされてもお金を渡さない取り組みを継続するとともに、一人でも多くの犯人の検挙にも努めてまいります。  以上でございます。 43 ◯議長久保田松幸君)当局の答弁が終わりました。  河西敏郎君に申し上げます。残り時間がありません。  これをもって、河西敏郎君の代表質問を打ち切ります。  以上で本日の日程は全部終了いたしました。  明十二月八日、午後一時、会議を開き、一般質問を行います。  本日は、これをもって散会いたします。                                          午後三時四十四分散会 発言が指定されていません。 Copyright © Yamanashi Prefecture, All rights reserved. ↑ ページの先頭へ...